ローマ-東京間飛行 2人の若きイタリア人飛行家たちの「夢」

Buongiorno a tutti!

今からちょうど100年前。

ライト兄弟による初飛行からわずか17年後、ローマから東京までを飛び、世界で初めて欧亜連絡飛行を成功させたイタリアの小型飛行機があったことをご存じでしょうか?

1920年5月31日、現在の代々木公園(当時の代々木練兵場)の地に、イタリア陸軍航空部隊の若き飛行家たち、25歳のアルトゥーロ・フェラリン中尉と24歳のグイド・マジエーロ中尉とが操縦する2機の複葉機、アルサンドSVA(ズヴァ)が着陸しました。彼らはそれぞれ機関工のジーノ・カッパンニーニ曹長とロベルト・マレット伍長とともにローマから東京にやって来たのです。代々木練兵場で彼らを待っていたのは、原敬首相や日本の航空・陸軍関係者を含む、およそ20万もの人々。大正デモクラシー真っ只中であった日本は、叙勲や貞明皇后との面会をはじめ、この国際親善飛行を盛大にもてなしました。

この「ローマ-東京間飛行」を計画したのは、あのガブリエーレ・ダヌンツィオでした。1918年に約1,000kmのウィーン上空飛行を成功させた彼は、第一次世界大戦中、イタリア軍に志願入隊していた詩人の下井春吉と知り合い、この飛行計画を持ちかけます。結局ダヌンツィオと下井は参加を辞退することになりましたが、代わりにダヌンツィオにより選ばれた11人のパイロットと11人の機械工からなる編隊が組まれたのです。約18,000kmという埒外な規模の航路ゆえ、莫大な国家予算を費やして補給地点などが随所に整備されました。まさに前代未聞の計画です。

結果、予備機5機を含む11機のうち、最終目的地である東京に無事たどり着くことができたのは、わずか2機のみ。その他の機体は、故障や不時着などにより次々と脱落。中には墜落した地で捕虜となってしまう者もいました。

Ansaldo S.V.A. 複葉機

マジエーロらは道中のエンジントラブルにより、やむなく船での移動を挟みましたが、フェラリンとカッパンニーニは、約18,000キロに及ぶローマ-東京間の行路を、2週間という当時の計算を大幅に超える、約3ヶ月半もの時間をかけて飛行し、航空史に残る偉業を成し遂げたのです。

1929年に出版されたフェラリンの自伝「世界の飛行(Voli per il mondo)」の中に、フェラリンらが貞明皇后に謁見した際の記述があります。

(以下、「イタリア空軍国防省発行 隔月刊誌 “Rivista Aeronautica” 2020 年 1-2 月号 日本語訳」より引用)

『その後、皇后は、私達がローマを出発した日から 13 歳以下の年齢のすべての学校の生徒に ローマ東京間飛行をテーマにして具象画、象徴画、寓意画など、彼らなりの解釈で絵を描くよう にという課題を出し、その中から学校で一番優れた作品を集めて 2 冊のアルバムを作り、そのアルバムをイタリア王妃に贈呈したいので、私達に託すつもりだとお話しされました。』

長年にわたり「ローマ-東京間飛行」について研究している、フィレンツェ在住の画家・造形作家の道原聡氏が、この記述に気づいて調査をはじめました。その結果、当時の日本の小学生らの作品が集められた2冊の「記念帖」が、現在もイタリアで保管されていることを、それぞれ2017年、2019年に発見したのです。

道原氏は、「このローマ東京間飛行の 3 年後の 1923 年には関東大震災があり、さらに 25 年後の第二次世界大戦中のアメリカ軍による東京大空襲により、東京の大部分が灰燼に帰してしまったことを考えるなら、この記念帖がイタリアに残っていることは非常に貴重である」と述べています。

今回、フェラリンらが東京に到着して丁度100年となる5月31日(日)午前0時より、道原氏の監修により製作された動画「2冊の記念帖 – 東京の小学生が見た1920年のローマ東京間飛行」(7分25秒)を配信しています。当時の写真や映像を見ながら、命の危険を顧みず、遥か日本の地にまでたどり着いた若き飛行家たちに思いを馳せてみてはいかがでしょうか?

詳細はこちら:

道原 聡 Satoshi Dobara
1959年広島市生まれ。京都市立芸術大学卒業。1986年、イタリア政府給費留学生として国立フィレンツェ・アカデミア美術大学に入学し、1991年に同校卒業。現在もフィレンツェに在住し創作活動をしている。1920年の「ローマ-東京間飛行」に着想を得た作品も制作している。
www.satoshi-dobara.com

<参考>
道原聡氏ブログ
http://www.satoshi-dobara.com/blog-post08.html
http://www.satoshi-dobara.com/blog-post09.html

イタリア空軍国防省発行 隔月刊誌 “Rivista Aeronautica” 2020 年 1-2 月号 日本語訳
http://www.satoshi-dobara.com/style/images/art/_blog/2020/japanese.pdf

GQ「100年後の浪漫飛行──アルトゥーロ・フェラリンを偲んで」https://www.gqjapan.jp/culture/column/20170609/raid_aereo_roma_tokio

フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』:アルトゥーロ・フェラーリンhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%88%E3%82%A5%E3%83%BC%E3%83%AD%E3%83%BB%E3%83%95%E3%82%A7%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%83%AA%E3%83%B3https://www.gqjapan.jp/culture/column/20170609/raid_aereo_roma_tokio

フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』:ガブリエーレ・ダヌンツィオhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AC%E3%83%96%E3%83%AA%E3%82%A8%E3%83%BC%E3%83%AC%E3%83%BB%E3%83%80%E3%83%B3%E3%83%8C%E3%83%B3%E3%83%84%E3%82%A3%E3%82%AA

Wikipedia, l’enciclopedia libera.:Raid Roma-Tokyo
https://it.wikipedia.org/wiki/Raid_Roma-Tokyo

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【本の魅力再発見!】『偉大なる時のモザイク』

イタリア文化会館では、新型コロナウイルスの感染拡大防止措置に伴う休校、テレワーク、外出自粛により在宅で過ごす方に向け、毎週水曜日スタッフがお勧めのイタリアに関する本を紹介します。今日皆さんに紹介するのは、カルミネ・アバーテの『偉大なる時のモザイク』(栗原 俊秀 訳・解説 、未知谷、2016年)です。

 本書の舞台となるのは、南イタリアにある「アルバレシュ」と呼ばれるアルバニア系住民の村である。作者であるカルミネ・アバーテもまた、このアルバレシュ共同体に出自を持つ。著述の節々に織り交ぜられるアルバレシュ語やアルバニア語にこうした作者の特徴が現れているが、言語の混淆(contaminazione)もまた、栗原氏の翻訳によって楽しむことができるだろう。

 そしてまた読者は、稀代のモザイク職人であるゴヤーリ、そしてその完成を見つめる主人公の一人ミケーレとともに、アルバレシュの架空の共同体ホラと、先祖の財宝の行方をめぐる記憶のモザイク画が完成する過程を追体験することとなる。どのようにして、共同体「ホラ」が形成されたのか。なぜ、アントニオ・ダミスは「ホラ」から去ったのか。こうした謎は、ゴヤーリによるモザイク画とともに、証言者、村人たちの語りを通じて明らかにされていく。

「モザイクに描かれた人物たちは、体を震わせ、息をしながら、静寂のなかを旅している。それを見たときに、自分の中に宿った思いこそが大切なんだ。どうして人は、生まれ故郷から逃げ出さなければならないのか。どうして人は、旅立ちを強いられるのか。俺は彼らを見ていると、この世にはびこる不正や不実に、自分の手で触れたような気分になる。」
(本書280頁、アントニオ・ダミスのことば)

 本書の鍵を握るアントニオ・ダミスの言葉は同時に次の問いを喚起する。「どうして人は、自らのルーツへと帰ろうとするのか」と。出自を探し求める者、やり残していたことを終わらせようとする者。この帰郷自体もまた旅であったように私には思われた。ここで問いは再びダミスの言葉へと回帰する。人はなぜ、そして何から、旅立ちを強いられるのか。

 インターネットを介して購入した航空券を手に、容易にかつ安全に国境が移動できるようになった現在に生きる我々と、500年前に海を渡った人々、前世紀に戦火や貧困から逃れるべく仕方なく祖国を去った人々との間に、「旅」、あるいは「移り住む」という概念をいかに理解するか、という点において大きな隔たりがあることは明らかである。しかしながら、我々が只中にあるコロナ禍によって、その移動が制限されうることもまた詳らかになった。多様性が叫ばれる一方で、国籍・人種の異なる人々に対して向けられる心ない言葉・行為を伝え聞くことが多くなったことも事実である。

 こうした状況にあって本書は、「移民」「旅」などの考え方を再考する契機を与えてくれるものである。

カルミネ・アバーテ
1954年生まれ。出生地のカルフィッツィ(カラブリア州クロトーネ県)は、南イタリアに点在するアルバニア系住民(アルバレシュ)の共同体のひとつ。南伊プーリア州のバーリ大学を卒業後、ドイツに移住。1984年、ドイツ語による短篇集『かばんを閉めて、行け!(Den Koffer und weg!)』を発表し、作家としてデビュー(1993年、同作のイタリア語版『壁のなかの壁(Il muro dei muri)』を刊行)。1990年代半ばに北イタリアのトレント県に移住し、現在にいたるまで同地で生活を送る。

栗原 俊秀
1983年生まれ。京都大学総合人間学部、同大学院人間・環境学研究科修士課程を経て、イタリアに留学。カラブリア大学文学部専門課程近代文献学コース卒(Corso di laurea magistrale in Filologia Moderna)

(Ha.)

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【本の魅力再発見!】『古代ローマ人の24時間 よみがえる帝都ローマの民衆生活』

イタリア文化会館では、新型コロナウイルスの感染拡大防止措置に伴う休校、テレワーク、外出自粛により在宅で過ごす方に向け、毎週水曜日スタッフがお勧めのイタリアに関する本を紹介します。今日皆さんに紹介するのは、アルベルト・アンジェラ の『古代ローマ人の24時間 よみがえる帝都ローマの民衆生活』(関口 英子 訳 、河出書房新社、2010年)です。

時空を超えた旅に導いてくれる楽しい1冊。

時は紀元115年。今からおよそ1900年近く前の、とある火曜日のこと……。日の出の数時間前、暗闇に包まれ寝静まった街角に立つ、一体の女神像から旅は始まります。

トラヤヌス帝治世下の紀元115年は、古代ローマ帝国がその版図をもっとも拡大した時期であり、端から端までの距離は、なんと地球の円周のほぼ四分の一に相当したといいます。当時のローマは、全人口の6割がイタリア以外の出身という超国際都市。本書は、そんな古代ローマのある一日を描くというユニークな構成で、古代ローマに生きた「普通の人びと」の暮らしを隅々まで見ていきます。「午前6時」「午前6時15分」と、時間で細かく区切られた目次も特徴的です。

著者は、古代ローマ帝国の遺跡の撮影や調査・研究を長年行なってきた、ジャーナリスト、科学ライターのアルベルト・アンジェラ。RAI(イタリア国営放送)の人気サイエンス番組「スーパークォーク」(Superquark)のキャスターを務める、イタリアではみんなが知っている顔です。万人向けのメディアで経験を積んだ著者ならではの語り口で、こちらの好奇心をそそりながらわかりやすく解説してくれる本書は、まるでファンタジー小説を読んでいるかのように気軽に読めてしまいます。

古代ローマの街並みを私たちと一緒にめぐる彼は、ガイドというよりも旅仲間として、私たちとともに冒険し、驚き、戸惑い、そして感動します。映画のようなカメラワークで、喧騒を極める表通りから、鳩の住み着く崩れかけた集合住宅の屋根裏、老若男女が憩う公衆浴場、しまいにはコロッセウムで死闘を繰り広げる剣闘士のヘルメットの中まで、当時のローマを自在に移動します。そうして網羅的に描かれた数々の細部が、じわりじわりとローマという都市の形をした生き物の全貌を浮かび上がらせるのです。

ところで皆さんは、ガイドを片手に歴史ある街並みや遺跡や歩きながら、非常に貴重な建築や発掘品を目の前にして、「本当はもっと感動できるのではないか」「価値や魅力をもっと実感したい」「もう少し知識や想像力があれば」という思いを抱いたことはありませんか?

私たちが普段目にする、遺跡や博物館のショーケースの中でひっそりと陳列された生活道具や装飾品。それらひとつひとつはたとえ簡素で目立たないものであっても、古代ローマの人びとの暮らしの中では、活き活きとそれぞれの役割を果たしています。私たちも、細部を見逃さない観察眼と少しの想像力さえあれば、目の前の遺物に息を吹き込むことができるのです。この本では、考古学に長け、ローマを愛する筆者が、そんな「少しの想像力を働かせる」コツを教えてくれます。古代ローマに関してなら、どんなガイドよりもまずこの本を手に取れば、たちまちローマという街のもつ魅力に取り憑かれてしまうでしょう。ローマに何度も通ったという人でも、この本を読めば新たな発見があるはずです。

読書という行為は、距離だけでなく、時間をも超えさせてくれます。

皆さんも本書を手に取り、古代ローマの街に出かけてみてはいかがでしょうか?

アルベルト・アンジェラ(Alberto Angela)
1962年、パリ生まれのイタリア人。大学では自然科学を専攻。長年、アフリカおよびアジア諸国に滞在し、発掘調査に携わったのち、科学知識の普及活動に専念。テレビの人気サイエンス番組「スーパークォーク」「クォーク・スペチャーレ」の監修およびキャスターを務めるほか、「ウリッセ」などRAI(イタリア国営放送)の教育番組を担当している。科学ライターとしても活躍しており、雑誌記事や著書も多数ある。『宇宙への旅』(1998年、モンダドーリ出版)をはじめ、やはり著名な科学ライターである父親のピエロ・アンジェラとの共著も多い。

関口英子(Eiko Sekiguchi)
埼玉県生まれ。旧大阪外国語大学イタリア語学科卒業。翻訳家。児童書やノンフィクション、映画字幕までイタリア語の翻訳を幅広く手掛ける。おもな訳書に、R・モルホ『ジョルジョ・アルマーニ 帝王の美学』(共訳、日本経済新聞出版社)、M・フォルトゥナート『イタリアの外国人労働者』(明石書店)、I・カルヴィーノ『マルコヴァルドさんの四季』(岩波少年文庫)、P・レーヴィ『天使の蝶』、D・ブッツァーティ『神を見た犬』(以上、光文社古典新訳文庫)などがある。

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【本の魅力再発見!】『ラファエッロの秘密』

イタリア文化会館では、新型コロナウイルスの感染拡大防止措置に伴う休校、テレワーク、外出自粛により在宅で過ごす方に向け、毎週水曜日スタッフがお勧めのイタリアに関する本を紹介します。 今日皆さんに紹介するのは、 コスタンティーノ・ドラッツィオ の『ラファエッロの秘密』(上野 真弓 訳 、河出書房新社、2019年)です。

「ラファエッロ・サンツィオは、『画家というよりも、王侯貴族のごとく生きた』。」(本文より抜粋)

1520年4月6日、ルネサンスを代表する画家、建築家のラファエロ・サンツィオがローマで亡くなった。没後500年というメモリアルイヤーの今年、ルネサンス期を代表するこの巨匠を回顧するイベントが世界各地で行われている。

みなさんは、37歳の若さでこの世を去ったラファエッロが、万人の認める天才ミケランジェロからひどく憎まれるほどの野心家であったことをご存知だろうか。

ラファエッロは、彼の作品に見られる明るい背景、澄んだ空、人物像を彩る鮮やかな色彩からは想像もできないほど、野心に溢れていた。必要とあらば、尊敬する芸術家の作風を剽窃することも厭わない。しかし常に一定の慎ましさを保ちながら、いかなる妬みも引き起こすことなく、ローマ教皇をはじめ絶大な力を持つパトロンと関係を深め、富を蓄えてゆく。そうして同時代の画家たちを置き去りにしながら、イタリア画壇の頂点であるローマの地で栄光の階段をかけのぼる。

この本では、ラファエッロの重要な作品一つ一つを、同時期に描かれた他の画家の作品などと比較しながら丁寧に見ていく。彼が当時最先端であった技術を瞬く間に吸収し、それをどのように自分流の表現に落とし込んでいたのかが、政治情勢、他の画家やパトロンとの駆け引きなどとともに詳細に描かれる。そして他の画家と明確な対比で、ラファエッロの抜きん出た才能をこれ以上ないほどに浮き彫りにさせていて、非常にわかりやすい。

本著は、各種メディアで活躍中の美術史家コスタンティーノ・ドラッツィオによる、イタリアで大人気の秘密シリーズ三部作で、カラヴァッジョ、レオナルドに続く、シリーズ最終巻。専門用語ばかり並ぶ学術書ではなく、西洋美術史の知識がなくとも興味深く読める内容となっている。全くこぼれていない「こぼれ話」にもご注目あれ。

読み進むにつれ、「今すぐローマへ赴いて作品をこの目で見たい!」と思わせてくれる一冊。

コスタンティーノ・ドラッツィオ (Costantino D’Orazio)

1974年生まれ。美術史家&随筆家。ローマ現代アート美術館(MARCO)の展覧会キュレーターを務めるほか、イタリア国営放送で国内の芸術作品を紹介する番組を担当するなど、多方面で活躍している。『カラヴァッジョの秘密』は著者の〈秘密シリーズ〉第一作で、イタリアで大きな成功を収めた。続いて『レオナルド・ダ・ヴィンチの秘密 天才の挫折と輝き』があり、『ラファエッロの秘密』はこのシリーズ最終巻となる。

上野真弓(Mayumi Ueno)

1959年生まれ。成城大学文芸学部芸術学科(西洋美術史専攻)卒業。1984年よりローマ在住。翻訳書に『レオナルド・ダ・ヴィンチの秘密 天才の挫折と輝き』『カラヴァッジョの秘密』がある。ローマの生活や芸術を紹介する人気ブログ「ローマより愛をこめて」の管理人。

(H.)

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Filed under: Staff Blog,お知らせ — イタリア文化会館東京 11:00

【本の魅力再発見!】『恋するトリエステ』

イタリア文化会館では、新型コロナウイルスの感染拡大防止措置に伴う休校、テレワーク、外出自粛により在宅で過ごす方に向け、毎週水曜日スタッフがお勧めのイタリア文学を紹介します。 今日皆さんに紹介するのは、 ヘレナ・ヤネチェク の『恋するトリエステ』(橋本 勝雄 訳 、イタリア現代文学アンソロジー『どこか、安心できる場所で』国書刊行会、2019年 所収)です。

この物語は、たった12ページしかない。本当に一瞬だ。

それなのに、こうも私に強烈な印象を残し、読んだ後もじわりじわりと私の心に居残り続ける。

『恋するトリエステ』を読んでまず思うこと。それは、読書という行為は、本を実際に手にとって読むことだけを指すのではない、ということだ。

この物語は、あっという間に終わってしまう。なぜこれだけ短くできるのか、というと、おそらく誰もが見聞きしたことのある話に似ているからだろう。街に新顔がやってきて、色恋沙汰を引き起こす。それはよくあるいつもの噂話であり、ときには自分が話の中心であるかもしれない。

しかし、不意を突かれるのだ。この感覚は身に覚えがある。アントニオ・タブッキの『逆さまゲーム』だ。読者のミスリードを誘うような仕掛けが施された短編集である。タブッキの場合、最後までその尻尾をつかませないで、あたかも狐につままされたかのような気分になることもあるが、ヤネチェクは私たちをその手にぎゅっと掴んで放さない。私たちは、読み終えたあともこの物語について考え続けざるを得ない。

また、橋本氏による翻訳の切れ味が、このトラップをより効果的にしている。物語の展開に応じてトーンを見事に使い分けることによって、場面場面のイメージを最大限に膨らませ、物語自体の短さに釣り合わないほどの読み応えを与えてくれている。

この世界で他者と共生していくには、想像力が必要だ。感情移入ではなく、その人が置かれている状況を理解しようとする絶え間ない努力。どんな人にも、彼ら/彼女らの暮らしがある。たとえニュースの一面を飾るような人物でも、他人の見えないところには、その人の日常やストーリー、つまり「個」がある。

しかし、いつでもどこでも同じなんだ、と油断していると突如それは訪れる。災害というのはいつもそうだ。その渦中にあるとき、人は自分の「個」に必死にしがみつこうとする。だが災害は、差別的であれ、無差別的であれ、そうした「個」を瞬く間に押しつぶされてしまう。ヤネチェクは、想像力を発揮して、そうして押しつぶされてしまった「個」を回復しているのだ。

舞台は1937年、トリエステ。「21世紀イタリア短編アンソロジー」である本著において、なぜこの舞台設定なのか。いつの時代でも起きることは同じだからだ。現に世界が大きな困難に直面している今、この物語を読むことは、我々にとって大きな意味がある。

それなのに、こうも私に強烈な印象を残し、読んだ後もじわりじわりと私の心に居残り続ける。

ヘレナ・ヤネチェク

ヘレナ・ヤネチェクは、1964年にドイツのミュンヘンでポーランド系ユダヤ人の両親のもとに生まれた。30年以上イタリアに在住しながら、イタリア語で作家活動を行なっている。報道写真家ロバート・キャパのパートナーであり、スペイン内戦で命を落としたユダヤ人女性写真家ゲルダ・タローを描いたノンフィクション・ノベルLa ragazza con la Leica(2017年)でイタリア文学界最高の賞、ストレーガ賞を獲得。イタリア語が母国語でない作家による初の受賞ということでも注目を浴びた。

(H.)

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Filed under: Staff Blog,お知らせ — イタリア文化会館東京 11:00

【本の魅力再発見!】『回復』

イタリア文化会館では、新型コロナウイルスの感染拡大防止措置に伴う休校、テレワーク、外出自粛により在宅で過ごす方に向け、毎週水曜日スタッフがお勧めのイタリア文学を紹介します。 今日皆さんに紹介するのは、ヴィオラ ・ディ・グラードの『回復』( 越前 貴美子 訳 、イタリア現代文学アンソロジー『どこか、安心できる場所で』(国書刊行会、2019年) 所収)です。

醜く静かなるものとの邂逅。

薬物依存症だった主人公。
無菌状態の病室での解毒期間を終え、ロンドンにあるフラットで新たな生活を始める。
かつて市営住宅だった家を改修し、新しい家具で満たされたフラット。それでもなお傾いたままの床。仕事中は、なるべく考えずにすむように、とても複雑なプロジェクトで頭をいっぱいにしている。頼りにしていた姉からは、どうも避けられているようだ。
薬物依存であったことは、主人公にとってそれほど大きな問題ではなかった。それよりも、他者から向けられる情けが、彼女のプライドを傷つけていた。

そんな主人公のもとへ、ある日、不可思議な「男」が訪ねてくる。醜く、すがりつくような眼差しで主人公を見るが、何も語らない裸の高齢の「男」。しかもこの「男」には翼がついている-。
「男」の放つ異臭が今にも漂ってきそうな描写に、「いったいどこへ向かっているのだろう?」と読みながらハラハラとした。この作品の印象を形容するなら「ネバネバした」とか、「生々しい」、「薄暗い」といった表現になるだろうか。それでも不思議と読後の心は軽やかである。

混沌とした悩みの中で身動きが取れなくなってしまっていたのが、ある時ふと雲が晴れたように身体が軽くなり、「自分は大丈夫」と思った記憶が、大なり小なり誰にでもあるのではないだろうか。この作品を読んで、あの頃自分を救ったものはなんだったのか、今となってはかなり薄れてしまったいくつかの記憶に思いを馳せた。

バランスを崩しそうになっている人、あるいはかつてそういう記憶のある人にぜひ読んでみてほしい作品。

ヴィオラ・ディ・グラード

1987年、シチリア州カターニア生まれ。トリノ大学で日本語、中国語を学んだのち、ロンドン大学で東アジア哲学を専攻する。現在はロンドンに在住。

2011年、23歳で発表したデビュー作『アクリル70%、ウール30%』が、《カンピエッロ賞》新人賞、《ラパッロ=カリージェ賞》新人賞を受賞、《ストレーガ賞》の最終候補にもなり、一躍注目を浴びる。次いで発表した、自殺した青年の死後の世界を描いた小説『くぼんだ心臓』(2013)が高く評価され、英訳が数々の賞にノミネートされる。近未来の日本を舞台にした『鉄の子供たち』(2016)、放射能汚染で立ち入り禁止となったシベリアの村での恋愛模様を描く『空の炎』(2019)など、次々に話題作を発表している。

(Ts.)

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Filed under: Staff Blog,お知らせ — イタリア文化会館東京 14:05

【本の魅力再発見!】『いいなづけ』

イタリア文化会館では、新型コロナウイルスの感染拡大防止措置に伴う休校、テレワーク、外出自粛により在宅で過ごす方に向け、毎週水曜日スタッフがお勧めのイタリア文学を紹介します。 今日皆さんに紹介するのは、アレッサンドロ・マンゾーニの傑作『いいなづけ』です。

アレッサンドロ・マンゾーニの『いいなづけ』は、1628年から1630年のスペインに統治されたロンバルディアを舞台とした、イタリアでは有名な歴史小説です。イタリア文学最初の歴史小説であるこの作品は、イタリア文学にとってのマイルストーンであるだけでなく、まさに現代イタリア語誕生の礎を築いたと言っても過言ではありません。さらに、登場人物に、貴族ではなく一般庶民を描いた小説として、初めて人気を博しました。

【あらすじ】

舞台は1628年から1630年、スペイン支配下のロンバルディア。
二人の主人公、ルチーアとレンツォはいいなづけ。しかし、彼らの結婚を執り行うドン・アボンディオ司祭は、その挙式を禁じられる。ルチーアに目をかけた領主ドン・ロドリゴが、レンツォとの結婚を阻止したのだ。
レンツォとルチーアはいくつかの浮き沈みののち、止むを得ず故郷を離れる。ルチーアはモンツァの修道院に、レンツォはミラノに逃げ延びる。
ルチーアは、モンツァの修道女ジェルトゥルーデの庇護を受け、一方レンツォは、ミラノでパンの価格高騰に反対する民衆蜂起に巻き込まれてしまう。
そしてドン・ロドリゴは、ジェルトゥルーデの協力を得てルチーアを悪党インノミナートに誘拐させ、自身の城に連れ去る。しかしその夜、激しい良心の呵責に苛まれたインノミナートは改心し、ルチーアを逃し、彼女を二人の友人に委ねる。
ちょうどこの頃、イタリアに南下してきた傭兵師団ランツクネヒトにより、イタリア中にペストが蔓延する。ルチーアの母アニェーゼとドン・アボンディオ司祭らは、慈愛に満ちた心を持つようになったインノミナートの城に避難する。一方レンツォは、ドン・ロドリゴと同じくペストに罹ってしまう。しかいレンツォは治癒するも、ドン・ロドリゴは帰らぬ人となる。
若い二人は、過酷な試練を乗り越え再会を果たし、無事結婚式を挙げる。

***********

新型コロナウイルスの感染拡大による休校措置に際して、ミラノにあるヴォルタ高校校長のドメニコ・スキラーチェ先生が生徒宛てに書いた手紙の中で、『いいなづけ』に描かれるペストの描写と現在私たちが置かれている状況を比べながら、生徒たちに、この新たな“ペスト”が人々の関係性まで毒してしまわぬよう意識して行動することを呼びかけました。この手紙は海を越えて日本でも話題になり、新聞やメディアでも取り上げられ、マンゾーニの『いいなづけ』は、日本で再び注目を浴びました。

家にいる時間を利用して、皆さんもこの機会に『いいなづけ』を読んでみませんか?

日本語版はこちら:

いいなづけ
(河出文庫、2006年)

いいなづけ
17世紀ミラーノの物語
(平川祐弘訳、河出文庫、2006年)
いいなづけ 上
いいなづけ 中
いいなづけ 下

ウンベルト・エーコがこども向けに書きかえたものもあります。
イタリア語で読むウンベルト・エーコの『いいなづけ』
(白崎 容子訳、NHK出版、2018年)

また、コミック版シリーズ『愛のちかい』(絶版)も、イタリア文化会館図書館に全巻所蔵しています。図書館が再開したあかつきにはこちらも是非!
愛のちかい 
(藍真理人、女子パウロ会、1984年)

(H.)

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【本の魅力再発見!】『パパの電話を待ちながら』

イタリア文化会館では、新型コロナウイルスの感染拡大防止措置に伴う休校、テレワーク、外出自粛により在宅で過ごす方に向け、毎週水曜日スタッフがお勧めのイタリア文学を紹介します。
 今日皆さんに紹介するのは、イタリアが誇る児童文学者でジャーナリスト、そして教育者、ジャンニ・ロダーリの短篇集『パパの電話を待ちながら』(内田洋子訳、2009、講談社)です。

『パパの電話を待ちながら』Favole al Telefono
(内田洋子訳、講談社、2009年)

「イタリアの本好きもまたそうでない人も、一度は読んだことがある作家。それが、ジャンニ・ロダーリである。」(訳者あとがきより)

ビアンキさんは、月曜日から土曜日まで、毎日イタリア中を忙しく飛び回るセールスマン。『パパの電話を待ちながら』は、そんなビアンキさんが、毎晩9時きっかりに、北イタリアの自宅で待つ幼い娘に電話で聞かせてあげた、色々なお話を集めた短篇集です。

あちこちにすぐコロリと落っこちてしまうミニサイズの女の子、自分の体のパーツをどこかに忘れてきてばかりいる男の子、透明人間トニーノ、宇宙ヒヨコ…楽しいキャラクターの数々に、お菓子や乗り物、王様、海水浴、宇宙、遠い異国の地など、子供が大好きな物や場所や事件が次々と登場します。

ひっくり返るようなお話に、ほのぼのとしたお話、寓意に満ちたお話、思わず笑いが込み上げるお話。重たいお話や、オチのない「宙ぶらりんなお話」も。児童向けの易しく明快な言葉遣いに、一話2~3ページほどの短さでどんどん読み進められますが、童話らしいシュールな味わいは、くせになるかも。一度でもロダーリを読んだことがある方ならご存じの通り、日本の童話とは一味違った独特のユーモアと洒落が光ります。

また、素晴らしいのは、非常識と言われそうなことでも否定されないことでしょう。あとがきでも言及されているように、「間違いや、人と違うということをとがめない」のです。イタリアの日常というのは、日本人には想像もつかないような出来事に満ちていますが、その面白みの源であるイタリア的発想力や独自のセンスは、子どもの頃からこうしたお話を通じて養われるのかもしれませんね。

色とりどりの宝物が輝くおもちゃ箱のような一冊。春の日差しと風のなか、軽やかで楽しい読書はいかがでしょうか。
(T.)

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青木純先生がマサニエッロ賞を受賞!

Buongiorno a tutti!

当館にてカンツォーネ・ナポレターナ講座を担当されている青木純先生が、第14回「マサニエッロ賞――ナポリの主役たち」を受賞されました。おめでとうございます!


マサニエッロ賞のロゴ

マサニエッロ賞は、イタリア国内外において、方言、詩、歌曲など、ナポリの芸術文化の発展に功績のあった文化人に対して贈られる褒賞です。本賞における日本人の受賞は初めての快挙です。授賞式は9月28日(土)、ナポリ・サンナザーロ劇場にて行われます。

 


青木純先生
(ナポリ,  Palazzo Venezia “casina pompeiana”でのコンサート)

――以下本人コメント—―

“この9月にナポリの「マサニエッロ賞」を日本人としては初めて頂ける事になりましたが、そんな賞があることはつい最近まで知りませんでした。
5月のある日、ナポリの親しいアーティスト仲間から突然「君がノミネートされた!」と連絡があったので、それは何だ?と訊いたら、ナポリの芸術文化の発展に貢献した人がもらえる価値ある賞だ!」との事。僕は毎年カンツォーネの生まれた町ナポリでコンサートを開催していますが、これを聴いて感激してくれた現地の人達の推薦で今回受賞できました。
また歌手としてだけではなく、長年ナポリのカンツォーネを日本で教えてきた事も大きく評価されたのです。特にイタリア文化会館ではカンツォーネのクラスを3クラスも持ち、日本でまだ良く知られていない、隠れた、美しく楽しく、センティメンタルなナポリのカンツォーネを数多く教え、まるでナポリの人々のように受講生たちが楽しく大きな声で歌っていることも大きな受賞理由となりました。
これからもイタリア文化会館を拠点に、皆さんに美しいカンツォーネをたくさんお教えし、一緒に歌い続けて行きたいと思っています。”

青木 純

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田中千世子さんの著書『ジョヴェントゥ ピエル・パオロ・パゾリーニの青春』が国際フライアーノ賞を受賞!

映画評論家で映画監督の田中千世子さんの著書『ジョヴェントゥ ピエル・パオロ・パゾリーニの青春』(みずのわ出版、2019)が、イタリアの国際フライアーノ賞の一部門である「第18回イタリア語イタリア文学海外研究者賞」に選出され、授賞式がアブルッツォ州ペスカーラにて7月6日に行われました。


授賞式の様子
 

フェデリコ・フェリーニの『甘い生活』などの脚本家としても知られる作家エンニオ・フライアーノの名を冠した国際フライアーノ賞は今年で46回を迎え、文学・演劇・映画・テレビ・ラジオなど各分野の優れたエンターテイメントに贈られる権威ある賞として国内外に知られています。そしてその一部門である「イタリア語イタリア文学海外研究者賞」は、世界各国のイタリア語イタリア文学研究者によって書かれたイタリアに関する優れた著作に対して与えられるもので、世界のイタリア文化会館の館長によってそれぞれ推薦された出版物から選考されます。今回、日本人の著作としては、2004年の『ダヌンツィオの楽園』(田之倉稔、白水社)以来、15年ぶりの受賞となりました。

 

授賞式を終えて金色のペガサス像と一緒に帰国した田中さんがイタリア文化会館を訪問し、受賞の喜びを語ってくださいました。この度の栄えある受賞、改めて心よりお喜び申し上げます!

――以下本人コメント—―
【フライアーノ賞をいただいて】
7月5日、ローマの空港から車で(約2時間半)アドリア海に面したペスカーラに到着。午後の海岸は黄金色に輝き、内外の避暑客で賑わっていた。この地に生まれたエンニオ・フライアーノは、フェデリコ・フェリーニ監督の『甘い生活』をはじめとする多くの脚本に協力した映画人として、またエッセイや小説の作家として注目していたが、授賞式に参列して私は大きな感動につつまれた。フライアーノ賞は彼の親友のジャーナリスト、エドアルド・ティボーニが創設し、今はその娘のカルラ・ティボーニさん(弁護士)が引き継いでいる。
6日の夕べの授賞式。まず若手文学の候補者がステージに登り、自作について話している背景に数字が点滅。誰が最優秀賞か、投票の集計が出るのが選挙速報のよう。29歳のジャンマルコ・ソルディがCosa resta di Maleで受賞。ポケモンや柔道の話が出てくる思春期の描写が新鮮。ベテラン作家たちも同じように最優秀賞が決まる。私は『ジョヴェントゥ ピエル・パオロ・パゾリーニの青春』でイタリアニスティカ賞をいただく(他に2人の受賞者)。司会者から三島由紀夫との比較について訊かれ、三島もパゾリーニも私の青春だったと答え、パゾリーニのノンコンフォルミズモの重要さは保守的な日本の若者に知ってほしいと強調した。
翌7日は街の広場で盛大な授賞式。演劇・映画・TV/ラジオ等の有名人受賞者たちが登壇、後ろのスクリーンに彼らの活動の映像が浮かぶ。多彩な顔ぶれはフライアーノの活動の多彩さの証しだ。特別賞はアフガンの少女の写真で有名なアメリカ人スティーヴ・マッカリーに渡る。開幕前にカルラさんにお話をうかがったら「フライアーノ賞はインターナショナルなのよ」とのこと。フライアーノ個人の顕彰が世界の文化の応援になっている!
田中千世子 TANAKA, Chiseko

 


帰国した翌日、当館館長パオロ・カルヴェッティと

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