ちょっぴりイタリア・オペラ〜有名なアリアの内容を知ろう プッチーニ作曲 オペラ《トゥーランドット》

トゥーランドットのポスター(1926年)

第3幕でカラフが歌う「誰も寝てはならぬ」
Puccini TURANDOT atto terzo “Nessun dorma” (Calaf)

フィギュアスケートの荒川静香さんが競技で使用したり、トリノ・オリンピックの開会式で、故ルチアーノ・パヴァロッティも歌ったこのアリアは、その後もテレビCMなどでも度々使用されて、オペラファンならずとも、よく知られたメロディとなりました。

ジャコモ・プッチーニ(Giacomo Puccini:1858-1924)の最後のオペラとなったこの作品は、架空の時代の北京を舞台にしています。絶世の美人で、氷のような残酷な姫とも称されるトゥーランドット姫は、彼女に求婚する外国の王子たちに「3つの謎」を出します。その「3つの謎」が解ければ、求婚者は彼女を娶ることができるますが、解けなければ求婚者は首を撥ねられることを条件にしており、すでに何人もの王子がその命を落としています。

ジャコモ・プッチーニ

国を追われたダッタン前王ティムールの息子カラフも、トゥーランドット姫の美しさに魅せられて名乗りをあげ、このオペラの第2幕で見事に「3つの謎」を解きます。その思わぬ結果を嘆く姫に対してカラフは「あなたが明日の夜明けまでに私の名を知ることができたら、私は喜んで死のう」と言います。その言葉にトゥーランドット姫は、「あの見知らぬ王子の名前が分かるまで、今夜北京の民は誰も寝てはならぬ」と命令します。

第3幕の冒頭、舞台は宮殿の庭。遠くで役人たちが「誰も寝てはならぬ!Nessun dorma!」と声を上げているのがカラフの耳に届きます。そのフレーズを受けて歌われるのがこのアリアで、彼は自分の勝利を確信しています。

ところでプッチーニは、この第3幕途中、カラフの名前を知るティムールに付き添ってきた奴隷リュウが、拷問によって自分がカラフの名前を口にすることを恐れて自害するところまでを作曲して、癌の手術後の心臓発作で亡くなっています。

一般的にはフランコ・アルファーノ(Franco Alfano, 1875-1954)のもの(公演では、主にその短縮版)が演奏されますが、その他にもルチアーノ・ベリオ(Luciano Berio, 1925-2003)ほか複数の作曲家が、プッチーニが作曲し残した部分を作曲して、オペラを完結させています。

この作品の初演初日(1926年4月25日:ミラノ・スカラ座)、プッチーニの友人でもあった指揮者アルトゥーロ・トスカニーニ(Arturo Toscanini, 1867-1957)は、リュウの死まで演奏して「ここでプッチーニは亡くなりました」と言って指揮棒を置きました。

アルトゥーロ・トスカニーニ

Nessun dorma! Nessun dorma!
Tu pure, o Principessa, nella tua fredda stanza
guardi le stelle che tremano d’amore e di speranza!

誰も寝てはならぬ! 誰も寝てはならぬ!
皇女様あなたとて、あなたの冷え切った部屋の中で
愛と希望に瞬く星を見上げているのであろう

Ma il mio mistero è chiuso in me,
il nome mio nessun saprà!
No, sulla tua bocca lo dirò,
quando la luce splenderà!

しかし、私の秘密は私の中だけにあり、
私の名は誰にも知り得まい!
いや、あなたの唇にそれを私が告げよう
夜明けの光が輝くときに!

Ed il mio bacio scioglierà
il silenzio che ti fa mia!

私の口づけが沈黙を解き放つだろう、
あなたを私のものにする沈黙を!

Dilegua, o notte!
Tramontate, stelle!
All’alba vincerò!
Vincerò!

消えるのだ、おお夜よ! 
地平に沈むのだ、星たちよ!
暁に、私は勝利するだろう!
勝利するだろう!

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Filed under: オペラの世界 — イタリア文化会館東京 14:41

映画『水と砂糖のように』

Buongiorno a tutti!

 “最もエレガントな撮影監督”カルロ・ディ・パルマを描いたドキュメンタリー映画『水と砂糖のように(原題:Acqua e zucchero: Carlo Di Palma, i colori della vita)』が、11月30日(土)より東京都写真美術館ほか全国にて順次限定公開されます!

映画史上の功績を讃え「カルロ・ディ・パルマ賞」と命名されたヨーロッパ映画賞撮影賞。本作はこの類まれな撮影監督についての、知的な、深みのある、なによりも愛にあふれたドキュメンタリーです。映画というものが共同作業による魔術であると同時に、個人の強烈な個性の産物であることを思い出させてくれます。

光と色の達人であるディ・パルマのキャリアは、ルキノ・ヴィスコンティの最初の映画『郵便配達は二度ベルを鳴らす』に参加した15歳から始まり、第二次世界大戦後の映画を革新したネオレアリズモとともに開花しました。モノクロからカラーに移行する中で、ミケランジェロ・アントニオーニと一緒に、色彩の革命ともいえる『欲望』『赤い砂漠』を生み出し、長きにわたるウッディ・アレンの撮影監督として、『ハンナとその姉妹』などアレンが描くニューヨークの物語に、洗練されたヨーロッパ的なものをもたらしました。

本作では、アレンをはじめ、ヴィム・ヴェンダース、ベルナルド・ベルトルッチ、ケン・ローチ、ニキータ・ミハルコフ、フォルカー・シュレンドルフ、ミラ・ネールなど、多くの優れた映画監督や関係者の証言によって彼の突出した才能とともに魅力あふれる人間性があぶり出されます。また、彼が関わった、ロッセリーニ、ヴィスコンティ、デ・シーカ、ジェルミ、アントニオーニ、スコラ、ベルトルッチ、アレンなどの名作25本の一部も挿入されています。

本作は、単に伝説的なひとりの撮影監督の伝記にとどまらぬ、映画黄金時代の核心に迫る感動的な旅なのです。

<監督たちのコメント>
フランチェスコ・ロージ監督「私たちは、真実の瞬間を再現するという映画への愛と情熱を共有していた。」
ベルナルド・ベルトルッチ監督「カルロは、台本を読み取ってそれを表現できる最高の撮影監督だ。」
ニキータ・ミハルコフ監督「モノクロ映画における技術を洗練させたのがジャン二・ディ・ヴェナンツォなら、カラー映画においてはカルロだ。」
エットレ・スコラ監督「カルロは物語の魂である雰囲気というものに細心の注意を払った。」
ヴィム・ヴェンダース監督「私が学び私をかたちづくったすべての映画の現場でカルロは生きていた。」
ウッディ・アレン監督「彼は、とても秀でた構成力と色彩感覚の持ち主。何をすべきか本能的に分かっていて、彼がやると、いつだってすばらしく見える。」

<インフォメーション>
『水と砂糖のように』
2019年11月30日(土)より東京都写真美術館ほか全国にて順次限定公開
監督・脚本:ファリボルス・カムカリ
プロデューサー:アドリアナ・キエサ 
出演:ケン・ローチ、ヴィム・ヴェンダース、ベルナルド・ベルトルッチ、ウッディ・アレン他多数
字幕:岡本太郎
2016年/イタリア/90分/1:1.78
配給:オンリー・ハーツ 
後援:イタリア大使館、イタリア文化会館
推薦:日本映画撮影監督協会
mizusato.onlyhearts.co.jp/

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Filed under: 未分類 — イタリア文化会館東京 10:35

第13回 JETCUP イタリアワイン・ ベスト・ソムリエ・コンクール

Buongiorno a tutti!

本日は 日欧商事株式会社からのお知らせです。
(以下のテキストはプレスリリースより抜粋)
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第13回を迎えるイタリアワイン・ ベスト・ソムリエ・コンクール JETCUPの決勝戦が今年も一般公開されます。 ぜひ会場にて決勝へと駒をすすめた選手にご声援ください!

2018年の 優勝者
田上 清一郎氏 (天草 天空の船)

JETCUP は、イタリアワインに関わるソムリエの育成と、その知識と技術の向上に貢献すること、および日本市場におけるイタリアワインのさらなる振興を目的として、2007年より開催されています。過去の優勝者には「日本におけるイタリアワイン大使」がイタリア政府から授与されるなど、日本だけでなくイタリア国内でも権威のある大会として認められつつある。優勝者にはイタリア研修旅行やメディアへの寄稿機会の提供など、幅広い活躍の場が用意されています。

決勝は、ブラインドティスティング、サービス実技から成り立ち、イタリアワインに関する知識に加えサービスも合わせたトータルな面で評価されます。

<開催概要>
第13回 JETCUP イタリアワイン・ ベスト・ソムリエ・コンクール
入場:無料
日程:2019年11月13日(水)14時~17時(受付開始13時30分)
会場:イタリア文化会館 アニェッリホール B2F
観覧申し込みフォーム

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Filed under: お知らせ — イタリア文化会館東京 10:06

映画『アンドレア・ボチェッリ 奇跡のテノール』

Buongiorno a tutti!

世界最高峰のテノール歌手であるアンドレア・ボチェッリ。その激動の愛と半生を描く映画が誕生しました。ボチェッリ自ら執筆した自伝的小説 “The Music of Silence”を『イル・ポスティーノ』(’94)のマイケル・ラドフォード監督が完全映画化した本作は、11月15日(金)より新宿ピカデリーほかで全国公開されます!

© 2017 Picomedia SRL

作品中のボチェッリ本人の吹き替えによる歌唱シーンは、まさに圧巻。96年に世界中で大ヒットした「タイム・トゥ・セイ・グッバイ」をはじめ、「アヴェ・マリア」「誰も寝てはならぬ(「トゥーランドット」より)」などを披露しています。2018年10月、14年ぶりに全世界で完全オリジナルのアルバムを発売したボチェッリは、世界最高峰のテノール歌手として今も歌い続け、2018年公開のディズニー映画『くるみ割り人形と秘密の王国』で親子でのエンディングテーマを披露するなど、その歌声はファンのみならず世界中の人々を魅了し続けています。

主人公のアモス(=ボチェッリ)役には、人気TVシリーズ「ゲーム・オブ・スローンズ」で頭角を現した新鋭トビー・セバスチャンを大胆に起用。また、アモスを息子のように厳しく、時に穏やかに指導するマエストロ役に、ペドロ・アルモドバル監督に見出され、『デスペラード』(’95)で世界のトップスターに上り詰めたアントニオ・バンデラス。アモスをテノール歌手として育てる過程を大胆に演じています。

ぜひ映画館に足を運んでみてくださいね!

© 2017 Picomedia SRL

<STORY>
イタリア・トスカーナ地方の小さな村。アモスは眼球に血液異常を持って生まれ、幼い頃から弱視に悩まされながらも、明るく過ごしていた。しかし12歳の時に学校の授業中、サッカーボールが頭に当たり持病が悪化、失明してしまう。不自由な暮らしに鬱憤を抑えきれず両親を困らせるアモス。そんな彼を見かねた叔父(エンニオ・ファンタスキーニ)が、元来歌が上手なアモスを音楽学校に連れていく。そのあまりにも美しい歌声が評価され、コンテストで見事優勝する。しかし喜びも束の間、すぐに声変わりが始まり、美しい声が出なくなってしまう。それを機に歌手を諦め、親友とともに弁護士を目指す。
大人になったアモス(トビー・セバスチャン)は、大学に進んだ後、ピアニストとして音楽を嗜んでいた。バーでの生演奏をするアルバイト中、客からのリクエストで、人前で歌声を披露。その歌声に感激した友人が、数々の有名オペラ歌手を育てたスペイン人の歌唱指導者、マエストロ(アントニオ・バンデラス)を紹介する。マエストロとの出会いによって、アモスの人生は一変する。改めて歌手の道を目指すことを決意したアモスは、マエストロの徹底した厳しい特訓に臨み、実力を伸ばしていく。順調にキャリアを積んでいくかと思われた矢先、気まぐれな音楽業界に振り回され、仕事が途絶えたまま数か月が経ってしまう。歌の仕事が入らないなか、いつでも歌えるようにしておくための習慣に時間を取られ、さらに歌と(?)新婚生活の狭間で揺れ動くアモス。彼は、ある決断を迫られていた……。

<インフォメーション>
『アンドレア・ボチェッリ 奇跡のテノール』
2019年11月15日(金)より新宿ピカデリーほか全国順次ロードショー
監督:マイケル・ラドフォード(『イル・ポスティーノ』)
原案:アンドレア・ボチェッリ
脚本:アンナ・パヴィニャーノ(『イル・ポスティーノ』)/マイケル・ラドフォード
出演:トビー・セバスチャン(『ゲーム・オブ・スローンズ』シリーズ)/アントニオ・バンデラス(『デスペラード』)
2017年/イタリア/英語・イタリア語/カラー/シネスコサイズ/5.1ch/115分/原題:The Music of Silence
配給:プレシディオ/彩プロ
映倫:PG-12
オフィシャルウェブサイト
© 2017 Picomedia SRL.

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Filed under: お知らせ — イタリア文化会館東京 11:55

映画『LORO 欲望のイタリア』

Buongiorno a tutti!

イタリアの元首相ベルルスコーニをモデルに描く、過激にして華麗なる爛熟エンターテイメント!

© Gianni Fiorito

『グレート・ビューティー/追憶のローマ』『グランドフィナーレ』など、圧倒的な映像美で人生の甘美と悲哀を描くイタリアの名匠パオロ・ソレンティーノの最新作『LORO 欲望のイタリア』が、11月15日(金)、Bunkamura ル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国公開となります。
21 世紀の映像の魔術師と呼ばれるソレンティーノが、ひとりの男の勝利への願望、成功への執着、そして愛の挫折を、めくるめく狂乱と絢爛の世界に映し出してゆく。その過激にして華麗なる映像美は圧巻です。通算9 年にわたって首相の座に君臨し、国民を熱狂させたベルルスコーニの魔力に引き込まれる陶酔の157 分。みなさまぜひお見逃しなく!

<STORY >
スキャンダル政治家として知られるイタリアの元首相シルヴィオ・ベルルスコーニ。整形に植毛、女性問題に数々の失言ばかりが取りざたされる彼だが、首相の座に登りつめた手腕は只者ではなかった。セクシー美女を招き、贅の限りを尽くしたパーティーで生気を養う。政治とカネ、マフィアとの癒着、権力・職権乱用は朝飯前。その野心は燃え尽きることはなく、怪物ベルルスコーニは首相の座に返り咲こうと動き出す。今、狂乱の扉が開く――︕

<インフォメーション>
『LORO 欲望のイタリア』
11/15(金)、Bunkamura ル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町他全国公開
監督:パオロ・ソレンティーノ  
出演:トニ・セルヴィッロ、エレナ・ソフィア・リッチ、リッカルド・スカマルチョ
2018年/イタリア/イタリア語/157分/カラー/シネスコ
原題:Loro/英題:Them/日本語字幕:岡本太郎/配給:トランスフォーマー
映倫:R15+
オフィシャルウェブサイト
©2018 INDIGO FILM PATHÉ FILMS FRANCE 2 CINÉMA

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Filed under: お知らせ — イタリア文化会館東京 10:04
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