ディスコルシ・ムジカーリ第4回演奏会「バロック時代ヴェネツィアのカンタータ百年の系譜 ―順光から逆光への道―」

Buongiorno a tutti!

2020年、2021年の2年間はコロナウィルス感染症拡大防止のため、オンラインで活動を続けてきましたが、今年はいよいよ舞台に戻ります。第4回演奏会はバロック時代ヴェネツィアのカンタータを俯瞰するプログラムです。

 17世紀初期のヴェネツィアは優れた印刷技術を背景にカンタータ曲集を精力的に出版し、このジャンルの初期の発展をリードしていました。ところがバルバラ・ストロッツィ(第1回演奏会で取り上げた女性作曲家)の1664年の最後の曲集以後、カンタータの出版は30年近くほぼ途絶えてしまいます。その理由として、ヴェネツィアに歴史上初の市民オペラ劇場が誕生し、カンタータの人気が衰えていったことが指摘されており、実際にカンタータの伝統はその後ローマ、ボローニャ、ナポリへと移って行くことになります。しかしながら、この空白の30年に何が起きていたのか、またそれはヴェネツィアのカンタータの発展にとって何を意味するのか、まだ十分な説明が成されていません。ここに焦点を当てたのが今回のプログラムです。

 ヴェネツィアでは独唱カンタータが下火になった一方で、無名作曲家による「重唱」カンタータが沸々と生まれていました。その流れを受けてレグレンツィ、ガスパリーニ、ロッティ、B. マルチェッロ等による優れた重唱作品が誕生するに至ります。1620年代のカンタータの萌芽期から18世紀の成熟した重唱様式へとダイナミックな変化を遂げたヴェネツィア。バロック時代ヴェネツィアのカンタータ100年の系譜を追いながら、知られざる作品の魅力に迫ります。また今回は通奏低音にチェロ、テオルボ、チェンバロ、オルガン、ハープを用いて多彩な響きを目指し、同時代ヴェネツィアの美しい器楽曲も取り上げます。プレ講演会では、空白の30年を含むヴェネツィアのカンタータの発展について多数の画像資料をお見せしながらお話しします。ぜひ併せてお聴きください。

【出演】

ソプラノ 阿部早希子 カウンターテナー 村松稔之 テノール 福島康晴 バス 目黒知史

バロックヴァイオリン 池田梨枝子 バロックチェロ 懸田貴嗣 テオルボ 佐藤亜紀子 

バロックハープ 矢野薫 チェンバロ/オルガン 松岡友子 お話 佐々木なおみ

【演奏曲目】

C. ミラヌッツィ 「あまりに不義理であろう」 《優美な歌》第3巻、1623年

 C. Milanuzzi, Troppo ingrato sarei, da Ariose vaghezze, Libro terzo, 1623

G. ロヴェッタ 「エルミーニアの涙」 《コンチェルタート様式のマドリガーレ集》第2巻、1629年より

 G. Rovetta, Le lagrime d’Erminia, da Madrigali concertati, Libro 1, Op.2, 1629

F. サンチェス 「穏やかな川の流れに」 《カンターデ集》1633年より

 F. Sances, Presso l’onde tranquille da Cantade, Libro secondo,1633

B. ストロッツィ 「何ができようか」カンタータ集第8巻、1664年より

 B. Strozzi, Che si può far, da Cantata Op.8, 1664

A. ロッティ 「運命の不誠実さ」 《二重唱、三重唱とマドリガーレ集》1705年より

 A. Lotti, Incostanza della Sorte da Duetti, terzetti e madrigali, 1705 

B. マルチェッロ 「この想いとともに」 18世紀の手稿譜より

 B. Marcello, Col pensiero dai manoscritti del Settecento

D. カステッロ、B. マリーニ、G. B. フォンターナのソナタ 他

 Sonata di D. Castello, B. Marini, e G.B. Fontana et altre opere

ディスコルシ・ムジカーリ 公式HP    https://www.discorsimusicali.com

イタリア・バロック音楽の研究と演奏を融合させた新しいスタイルの古楽グループ。学術的な面からバロック時代イタリア音楽の多側面に光を当て、演奏を通してその魅力を広めることを目的とする。当時の手稿譜や理論書、手紙などの一次史料の精読を活動の原点とし、そこに込められた作曲家たちの熱い「音楽論Discorsi musicali」を現代の私たちの感性で演奏につなげることをモットーとしている。

佐々木なおみ ディスコルシ・ムジカーリ主宰

東京藝術大学大学院音楽研究科博士後期課程修了。イタリア各地の図書館と古文書館で17世紀の手稿譜や作曲家の手紙などの史料調査を行い、チェスティのカンタータに関する研究で博士号取得(音楽学)。ストロッツィ生誕400年を機にイタリア・バロック音楽の研究演奏グループ、ディスコルシ・ムジカーリを立ち上げる。日本学術振興会特別研究員、上野学園大学非常勤講師、イタリア国立カターニア大学講師を経て、現在は主宰コンサートやオンライン講演会などを行う。共著『女性作曲家列伝』(平凡社)、『イタリアのオペラと歌曲を知る12章』『オペラ事典』(共に東京堂出版)。

<インフォメーション>

ディスコルシ・ムジカーリ第4回演奏会

バロック時代ヴェネツィアのカンタータ百年の系譜 ―順光から逆光への道―

Cento anni di storia delle cantate a Venezia nell’epoca barocca: luce e controluce

【チケット料金】前売り:プレ講演会と演奏会セット券 5,500円/演奏会のみ 4,500円/プレ講演会のみ 1,500円

当日券:演奏会 5,000円 全自由席

【チケット販売】ムジカキアラ 電話03-6431-8186(平日10:00-18:00)info@musicachiara.com

ディスコルシ・ムジカーリ・オンラインショップ https://discorsimusicali.stores.jp/

イープラス  https://eplus.jp/  演奏会チケットのみ扱い

【お問い合わせ】ムジカキアラ 電話03-6431-8186(平日10:00-18:00)info@musicachiara.com

ディスコルシ・ムジカーリ info@discorsimusicali.com

【助成】公益財団法人 野村財団 公益財団法人 朝日新聞文化財団

【後援】イタリア文化会館

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座・高円寺「劇場へいこう!」 2022

Buongiorno a tutti!

座・高円寺では、2009年の開館より地域の子どもたちのために作った作品を、地域の劇場で出会うことを目指し、「劇場へいこう!」というプログラムを行っています。毎年、杉並区および杉並区教育委員会の協力を得て、これまで4万人を超える杉並区内の小学校4年生を劇場に招待してきました。2012年からは、子どもたちの「劇場に行きたい」という願いに等しく応えるため、招待枠を中学生以下の子どもたち「全員」に広げ、中学生以下ならだれでも無料で観劇できるようにしています。

観劇は、劇場の未来に向けて、作品づくり、劇場という場づくり、人材づくりにもつながります。劇場文化の魅力を伝えたい、こうした思いを、作品に託して上演してきましたが、今年は、劇場レパートリーとして6年目の上演を迎える佃典彦 上演台本、西沢栄治 演出『フランドン農学校の豚~注文の多いオマケ付き』と、テレーサ・ルドヴィコ脚本・演出の新作『小さな王子さま』を​​ご覧いただきます。

『フランドン農学校の豚~注文の多いオマケ付き』は、宮沢賢治の2つの童話から生まれた舞台です。人が生きるために避けられない「食」。子どもたちにとっても日常的に耳にする食品ロスや食育にまつわる問題。演劇を通して、そうした問題の根底にある「食べること」そして「命」の大切さを感じ、考えてもらおうと、ストーリーテラーとして評価の高い劇作家、佃典彦に依頼して賢治の『フランドン農学校の豚』と『注文の多い料理店』を元にこの作品を創りました。

多彩な座組でさまざまなスケール感の作品を手掛け、経験豊かな演出家として注目を浴びる西沢栄治が、子どもたちに真っ向から向き合って創る本作品は、シリアスな内容の中にも、ユーモア、笑い、涙があり、歌とダンスを交えた五感を総動員できる舞台です。宮沢賢治の言葉の美しさを生かした俳優たちのセリフは、観る人の想像力を刺激し、リズミカルな歌と巧みなステージングは、演劇の楽しさを伝えます。荒井志郎、大野朱美、和田裕太、塚本淳也、小玉雄大、伊島 青、6人の出自の異なる個性的な俳優たちが「鼻」をつけることで順番に豚に変身し、豚の気持ちを演じていく様は、次は自分が、と、観ている観客を引き込みます。

「生きるために食べる」という人にとっての命題を、観客が互いに投げかけ、互いに考えあえるような、多様な可能性をもった作品です。同じ問題を同じ目線で考えるこの作品は、広い年代に好評を博し、2020年からは文化庁の学校巡回公演として全国の子どもにも、芝居を通して命と食の大切さを届けています。また、平成30年度厚生労働省社会保障審議会推薦作品となりました。

佃典彦(つくだ・のりひこ) 上演台本

愛知県出身。劇作家・俳優・演出家 劇団B級遊撃隊主宰。『KANKAN男』で第四回読売演劇大賞優秀作品賞。『ぬけがら』で第五十回岸田國士戯曲賞など受賞多数。

西沢栄治(にしざわ・えいじ) 演出

東京都出身。演出家。JAM SESSION主宰。日本演出者協会「若手演出家コンクール2003」で最優秀賞受賞。これまでの主な演出作品に『天保十二年のシェイクスピア』『女の平和』『四谷怪談』『阿部定の犬』『十二人の怒れる男』ほか。

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シンプルな舞台装置と、カラフルな色づかいで独創的な作品世界を創り続けているイタリアの演出家テレーサ・ルドヴィコ。観客の想像力を喚起する質の高い作品を発表し続けている彼女が手掛ける、座・高円寺3作目となる作品が、この『小さな王子さま』です。

テレーサは自分の作る作品についてこう説明します。「<子どもに向けて創ったけれど、大人も楽しめる作品>が、子どもも大人も楽しめる作品と呼ばれて、世界中で上演されています。ですが、私が作る作品は、そうした作品とは異なります。最初から<すべての観客を視野に入れて>創っています。つまり子どもは子どもの目線で、大人は大人の目線で見ることができる作品。客席で、もしかしたら違う要因で涙できるような、子どもも大人も等しく心動かすことができる作品です」

今回新作として選んだサン=テグジュペリの『星の王子さま』は、誕生してから80年、どの時代にも、子どもにも大人にも愛され続け、今では200以上の言語に訳され出版されています。物語の中で、私たちは、感動や感情のような大事なことは目には見えず、そうしたものは理性ではなく心から生まれるものだということ、小さな王子さまの宇宙の旅は、生きることの意味、友だちの意味、愛について考えるための思考の旅であることを、教えられるのです。

舞台は、原作と同じ時代。テレーサは、そうした話の内容をより現代の私たちに近づけて受け止めてもらうために、原作にはない登場人物を加えています。小さな王子が旅をしながら直面するのは今の私たちにとって重要な問題(気候変動、飢饉、森林の消滅、戦争、疫病、さまざまな依存症など)。それらを象徴する人物を登場させることで、観る人にこの話の自分の問題として考えることを促します。

彼女の思いを伝える演者たちは、前作『ピノッキオ』にも出演した俳優、髙田恵篤、髙橋優太、曽田明宏、今回新しく加わるダンサー酒井直之、山崎眞結、藤村港平、浅川奏瑛の7人。それぞれがセリフと音と体で表現する世界は、たった60分にも関わらず、アコーディオンの蛇腹のように、様々な要素が折りたたまれ凝縮されたテレーサ・ルドヴィコならではの世界を再現してくれることでしょう。ご期待ください。

テレーサ・ルドヴィコ 脚本・演出

93年よりテアトロ・キズメット(イタリア)で脚本、演出を手掛ける。世界各国で称賛を浴びた『美女と野獣』は、イタリア国内で「子どもと青少年向けの演劇ベストワン(lo stregagatto賞)」を受賞。『小さな王子さま』は、座・高円寺開館記念に創った『旅とあいつとお姫さま』、2作目『ピノッキオ』に次ぐ3作目。日本では他に『雪の女王』『にんぎょひめ』を演出。

私は長年、子どもにも大人にも関心を持ってもらえる物語を舞台化してきました。『星の王子さま』はそうしたお話の一つです。

作者は冒頭で記します。「すべての大人はかつて子どもだった。しかしそのことを覚えている大人は少ない」。

本来、子どもの世界と大人の世界はぴったり一つに重なるはずなのに、大人は自分が子どもだった時のことを忘れ、二つの世界に分かれてしまっています。例えば、幸福とはモノやコトそれ自体ではなく、それらをどうとらえるかということです。子どもは無意識のうちに、驚きや無邪気さ、あるいは好奇心を持ったり、感激したりすることを通して、幸福になる術を知っています。しかし、大人になると多くの場合、こうした幸福を見失ってしまいます。

このお話のなかで、王子さまは、飛行士の子ども時代を象徴しています。砂漠で出会った小さな王子さまは、銀河の星々で出会った人々に感じたことをパイロットに語ります。例えば、暴力や憎しみはたちまち大きくなるが、愛と友情はゆっくり育まれるということ。地球で出会ったキツネが王子さまに教えてくれたのは、関係を築くということは、相手にとってかけがえのない存在になること。そしてそれには時間と忍耐と献身が必要だということ。

「心で見ないとものごとは見えない。大事なことは目には見えない」キツネは別れていく友だちにこう言いました。

小さな王子さまは、パイロットが忘れてしまっているかもしれない大事なことを思い出させるかのような存在です。小さな王子さまの宇宙の旅は、私たちに生きることの意味、友だちの意味、愛について考えるよう促しているのです。

大人も子どもも魅了する演劇には、気づき、学び、成長の体験を共有できるという意味で大きな可能性があります。私が演出を考えるとき、つねに意識しているのは「大事なことは目には見えない」という言葉です。何もない空間で、照明による光と影を最大限に生かし、少ない装置や俳優で演じる、たとえば、飛行機が他のものに姿を変えたり、7人の演者が歌い、踊り、衣装を次々と変えたりしながら、たくさんの登場人物を演じます。すべてが夢の中のように宙に浮いているイメージです。

驚く力を持ち続けるためには、私たちは自分が子どもだったことを決して忘れないようにしなければなりません。このお芝居には、皆さんにそれを思い出させてくれる力があると信じています。

テレーサ・ルドヴィコ

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<インフォメーション>

座・高円寺 劇場へいこう!

『フランドン農学校の豚~注文の多いオマケ付き』 

2022年9月1日(木)~9月18日(日)

原作:宮沢賢治 上演台本:佃典彦 演出:西沢栄治

出演:荒井志郎、大野朱美、和田裕太、塚本淳也、小玉雄大、伊島 青

新作『小さな王子さま』

2022年9月26日(月)~10月9日(日)

脚本・演出:テレーサ・ルドヴィコ

翻訳・通訳:石川若枝 台本監修:佐藤信 美術:ルカ・ルッツァ

出演:髙田恵篤、髙橋優太、曽田明宏、酒井直之、山崎眞結、藤村港平、浅川奏瑛

◎協賛:東邦ホールディングス株式会社、劇場へいこう!サポーターズ

◎助成:文化庁文化芸術振興費補助金(劇場・音楽堂等機能強化推進事業)|独立行政法人日本芸術文化振興会

◎後援:イタリア文化会館(『小さな王子さま』)、杉並区 杉並区教育委員会

◎企画・製作: NPO法人劇場創造ネットワーク/座・高円寺

◎会場:座・高円寺1

◎全席自由(税込)

中学生以下の皆さんは無料です(事前に、座・高円寺チケットボックスにご予約ください)

・大人(18歳以上)3,000円

・ユース(16歳以上)2,000円

・「お星さま」割引:大人4,000円/ユース3,000円(『フランドン農学校の豚』と『小さな王子さま』の2作品をご覧いただけます(劇場チケットボックス窓口で、前売りのみ取扱い)

※劇場チケットボックス窓口では、杉並子育て応援券が使えます。

◎チケット取扱い

座・高円寺チケットボックス 03-3223-7300(TEL10:00~18:00/窓口10:00~19:00/月曜は休み) https://za-koenji.jp/

チケットぴあ TEL0570-02-9999 http://pia.jp/t/ Pコード:513-103

◎以下のサービスも、座・高円寺チケットボックスで承ります。

※車椅子のままで観劇をご希望の方のために、車椅子スペースをご用意しております。(定員あり/前日までに要予約)。車椅子の大きさに制限がございますので、お申し込みの際にお問い合わせください。

※障がい者手帳をお持ちの方は、座・高円寺チケットボックスお求めいただくと、1割引になります。

◎ご来場のお客さまにお願いです

・ご来場の際には、マスクをご着用いただき、劇場入り口での検温、手指消毒にご協力をお願いします。また、体温が37.5度の発熱や咳、咽頭痛などの症状のある方、体調に不安を感じる方、感染症療養期間が終了していない方、濃厚接触、帰国・入国等の自宅待機期間が終了していない方はご来場をお控えください。

◎お問合せ:座・高円寺 TEL03-3223-7500

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TRAGIC TRILOGY Ⅱ「トスカ」 (全 3 幕)

Buongiorno a tutti!

声楽にふさわしい音響空間として定評があるHakuju Hallが名作オペラの魅力をギュッと凝縮してお届けするシリーズ「TRAGIC TRILOGY」(トラジック・トリロジー)、つまり「悲劇三部作」。代表的なイタリアオペラより第1回はヴェルディの『椿姫』全3幕を上演し好評を博しました。そして今回はプッチーニの『トスカ』全幕を上演、次回は『蝶々夫人』と続きます。

オペラをホームに活躍を続ける田尾下哲が演出と脚本を手掛け、作品原作の設定を活かし新たな視点から大胆に構成、原語での上演ですが日本語の台詞を交えながら、単なるハイライト上演にとどめず、登場人物の心の機微を音楽で表現し名作の核心に迫ります。一方、指揮者の園田隆一郎がその音楽面での構成を行い、音楽監督だけでなくピアノで出演いたします。嫉妬深く、感情豊かな歌姫トスカをソプラノの青木エマ、その恋人、画家のカヴァラドッシをテノールの城宏憲、冷酷なローマの警視総監スカルピアをバリトンの大西宇宙が演じます。

第1幕カヴァラドッシのアリア「妙なる調和」、第2幕トスカのアリア「歌に生き、愛に生き」、第3幕カヴァラドッシのアリア「星は光りぬ」と名曲揃い、そして第2幕のトスカとスカルピアの二重唱は数あるオペラの中でも最も迫力ある場面のひとつと言われます。

新世代を代表する人気声楽家がシリーズ全作品を通して主役を演じるのも見どころの一つ。歌い手3人が3作品それぞれで多彩な魅力を発揮し、ホールを音楽による劇空間に創り変えます。

<出演>

青木エマ(トスカ)

城宏憲(カヴァラドッシ)

大西宇宙(スカルピア)

園田隆一郎(音楽監督 / ピアノ)

田尾下哲(演出 / 脚本)

横山希(稽古ピアノ)

<プロフィール>

青木エマ(ソプラノ)  Emma Aoki, soprano

国立音楽大学卒業。二期会オペラ研修所マスタークラス修了。修了時に優秀賞受賞。第

12 回日本演奏家コンクール最高位。これまでに『トスカ』タイトルロール、『ラ・ボエ

ーム』ミミ、『カルメン』ミカエラ等を演じ、西本智実プロデュース『蝶々夫人』では

タイトルロールで好評を博した。他にも二期会『フィガロの結婚』ケルビーノ、同『こ

うもり』オルロフスキー等。コンサートでもソリストとして数多くのオーケストラと共

演している。二期会会員。

城宏憲(テノール) Hironori Jo, tenor

東京藝術大学卒業。新国立劇場オペラ研修所修了。文化庁新進芸術家海外研修制度にて渡伊。リリコ・スピントの声質とドラマティックな演技で、これまでに二期会『トスカ』、『ノルマ』、『エロディアード』、『椿姫』、ヴェルディ「レクイエム」、グラントオペラ共同制作『アイーダ』、『カルメン』等でプリモ・テノールとして主演。第 84 回日本音楽コンクール第 1 位並びに岩谷賞、第8回静岡国際オペラコンクール三浦環特別賞等受賞多数。二期会会員。

大西宇宙(バリトン) Takaoki Onishi, baritone

ジュリアード音楽院卒。シカゴ・リリック歌劇場で研鑽。2019年『エフゲニー・オネーギン』で日本オペラデビュー後、国内外にて『フィデリオ』、『リナルド』、『ローエングリン』、『愛の妙薬』、『電話』、『カルメン』、『道化師』、『トゥーランドット』、『椿姫』等に出演。オーケストラ作品も幅広いレパートリーを持ち、常に高い評価を得ている。五島記念文化賞オペラ新人賞、日本製鉄音楽賞フレッシュアーティスト賞。

園田隆一郎(音楽監督 / ピアノ) Ryuichiro Sonoda, music director / piano

2006 年、シエナのキジアーナ夏季音楽週間『トスカ』を指揮してデビュー。翌年、藤原歌劇団『ラ・ボエーム』を指揮して日本デビューを果たす。同年夏にはペーザロのロッシーニ・オペラ・フェスティヴァル『ランスへの旅』を指揮。以後国内外のオペラへの出演やオーケストラとの共演を重ねている。また、砂川涼子、中村恵理、藤木大地ほか数々の歌手とのコンサートにおいて共演ピアニストとしても評価が高い。2017 年度第 16 回齋藤秀雄メモリアル基金賞受賞藤沢市民オペラ芸術監督。

田尾下哲(演出 / 脚本) Tetsu Taoshita, director / dialogue by

1972年兵庫生まれ、横浜育ち。第20回五島記念文化賞オペラ新人賞受賞。ドイツ人演出家ミヒャエル・ハンペに西洋演劇、演出を学ぶ。近年の演出作はオペラでは日生劇場『ルチア』、共同オペラ『カルメン』、神奈川県民ホール『金閣寺』、あいちトリエンナーレ『蝶々夫人』、二期会『カヴァレリア/道化師』などがある。今後もオペラ、ミュージカル、芝居の演出の他、海外での劇作が控えている。

<インフォメーション>

TRAGIC TRILOGY Ⅱ(トラジック・トリロジー)

「トスカ」 (全 3 幕)

登場人物 3 人で 名作オペラの核心に迫る

開催日時:2022年12月9日(金) 15:00 開演

チケット:全席指定 7,000 円(税込)

主  催:Hakuju Hall / 株式会社 白寿生科学研究所

後  援:イタリア文化会館

協  力:朝日カルチャーセンター新宿教室

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ヘンデル 「ジュリオ・チェーザレ」


Buongiorno a tutti!

英雄ジュリアス・シーザーをめぐる物語

バロック・オペラの傑作をオペラパレスで

「パリ・オペラ座公演より ©Agathe Poupeney」

新国立劇場の2022/2023シーズン冒頭に登場するのは、大野和士芸術監督のバロック・オペラシリーズ第1弾として計画され、各方面から大注目を集める中、新型コロナウイルス感染症の急拡大によりリハーサルが中断、公演中止となった『ジュリオ・チェーザレ』。2年半の時を経てオペラパレスへ登場します。

バロック音楽の大作曲家ヘンデルの『ジュリオ・チェーザレ』は、ヘンデルのオペラ作曲家としての地位を確立した記念碑的作品。歴史上のシーザーとクレオパトラの物語を題材にしたオペラ・セリアで、レチタティーヴォで導かれるアリアが次々に展開し、多彩な音楽の美しさと歌手の技巧を劇的効果とともに存分に楽しめるスペクタクルです。

ロラン・ペリー演出版は2011年にパリ・オペラ座ガルニエで上演され話題となり、14年にトリノ王立歌劇場でも上演されたもの。ペリーのコンセプトは、「史実をめぐる夢想」。「遊び心をもって歴史を見てみた」と、エジプトの博物館のバックヤードを舞台にし、巨大な彫像や絵画などが舞台上に次々現れ、古代と現代とがない交ぜになったファンタジーがドラマティックに展開します。

バロック音楽の第一人者リナルド・アレッサンドリーニを指揮に迎え、注目の歌手陣には森谷真理、藤木大地、加納悦子、金子美香ら2020年公演で出演を予定していたキャストが揃うほか、タイトルロールにはバロックや現代曲で活躍するノルウェーのメゾ、マリアンネ・ベアーテ・キーランドが出演します。

「パリ・オペラ座公演より ©Agathe Poupeney」

<STORY>

【第1幕】

ローマの将軍チェーザレは、政敵ポンペーオを追ってエジプトへ来る。エジプトの将軍アキッラがトロメーオ王からとポンペーオの首を差し出す。悲嘆にくれるポンペーオの妻コルネーリア。息子セストは復讐を誓い、チェーザレも暴挙に憤る。クレオパトラは弟トロメーオから王座を奪うべく、チェーザレへの接近を図っていた。

アキッラはチェーザレの様子をトロメーオに報告、チェーザレ暗殺を唆し、報酬にコルネーリアを要求する。クレオパトラが侍女リディアと身を偽ってチェーザレを訪れると、彼はまんまと魅了され、クレオパトラは狂喜する。トロメーオは宴にチェーザレを招く。そこへ忍び込んだコルネーリアとセストは捕えられる。

【第2幕】

クレオパトラのもとを従者ニレーノの手引きでチェーザレが訪れる。アキッラはコルネーリアに愛を迫るが拒否される。トロメーオもコルネーリアを口説くが拒絶される。コルネーリアは誇り高く自害しようとするが、ニレーノに導かれたセストが現れ、命を取り留める。クレオパトラとチェーザレが愛を交わしているとトロメーオのチェーザレ暗殺の動きが知らされ、チェーザレは出陣する。

【第3幕】

アキッラはクレオパトラへ寝返る決心をする。クレオパトラはトロメーオに捕らえられ、絶望している。追い詰められ海へ飛び込んだチェーザレが生還。瀕死の傷を負ったアキッラは、自らがポンペーオ殺害を唆し、コルネーリアを得るべくチェーザレ暗殺を諮ったことをセストに告白する。死を覚悟したクレオパトラの前へチェーザレが現れ助け出す。なおもコルネーリアに言い寄るトロメーオの前にセストが現れ、ついに復讐を果たす。クレオパトラとチェーザレ、コルネーリア、セストを人々が讃え、幕となる。

<スタッフ・キャスト>

【指 揮】リナルド・アレッサンドリーニ

【演出・衣裳】ロラン・ペリー

【美 術】シャンタル・トマ

【照 明】ジョエル・アダム

【ドラマトゥルク】アガテ・メリナン

【演出補】ローリー・フェルドマン

【ジュリオ・チェーザレ】マリアンネ・ベアーテ・キーランド

【クーリオ】駒田敏章

【コルネーリア】加納悦子

【セスト】金子美香

【クレオパトラ】森谷真理

【トロメーオ】藤木大地

【アキッラ】ヴィタリ・ユシュマノフ

【ニレーノ】村松稔之

【合 唱】新国立劇場合唱団

【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

<インフォメーション>

新国立劇場2022/2023シーズン

ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル「ジュリオ・チェーザレ」<新制作>

全3幕〈イタリア語上演/日本語及び英語字幕付〉

公演期間:2022年10月2日[日]~10月10日[月・祝]

予定上演時間:約4時間15分(休憩含む)

公演日程:2022年10月2日(日)14:00、5日(水)17:00、8日(土)14:00、10日(月・祝)14:00

チケット料金: S:27,500円 ・ A:22,000円 ・ B:15,400円 ・ C:8,800円 ・ D:5,500円

会  場:新国立劇場 オペラパレス

公式HP:https://www.nntt.jac.go.jp/opera/giuliocesare/

※新型コロナウイルス感染症の影響により、公演内容や招聘スタッフ・キャストに変更が生じる場合があります。

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