映画『3つの鍵』

Buongiorno a tutti!

円熟のモレッティが巧みな演出でみせる新境地!

カンヌ国際映画祭に愛される巨匠ナンニ・モレッティが送る、観客をひき込む濃密なドラマ『3つの鍵』が、9月16日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、UPLINK吉祥寺ほか全国ロードショー。

ローマの高級住宅街。同じアパートに住む3つの家族。顔見知り程度の隣人たちの扉の向こう側に隠された顔を誰も知らない。ある夜の交通事故をきっかけに3家族が3様に孤独を深めていく。3階の裁判官の家族に亀裂が生まれ、2階の夫婦は夫の長期不在の耐え難い孤独に妻が苦しみ、1階は娘を預けた向かいの老夫婦への信頼を疑い始める。日常に潜む歪みが

引き起こすドラマの、次に何が起こるかわからないスリリングな展開に目が離せなくなる。どんな人間でも、何かきっかけがあれば極端な行動に出る可能性があることを示唆する。そして鍵を見つけさえすれば、そこから抜け出し未来が開かれることをも描く。

監督デビュー以来一貫してオリジナル作品を撮り続けてきたモレッティ初の原作の映画化。イスラエルの作家エシュコル・ネヴォの原作の舞台をテルアビブからローマに移し、3つの独立した物語を5年後10年後と時間を軸に再構成した。1973年のデビューから常に変化を続け、50年近いキャリアが生み出す卓越した演出力に息をのむ。

『ローマ法王の休日』(2011)で2013年2 月のベネディクト16世の辞意表明を予見し、『夫婦の危機』(2006)では当時のイタリアの首相ベルルスコーニの有罪判決を映画の中で描いた。時代を見通し先見してきたモレッティは、本作では「孤独」という問題を描いてみせる。自分の中に閉じこもり、外部との接触を断つことで深刻化していく問題だ。英国で孤独問題担当国務大臣が誕生し、日本でも孤独・孤立対策担当室が設置されるなどコミュニティの不在、分断、排斥が浮き彫りになっている。そして、監督は“人生はいつでも何度でもやり直せる可能性がある”ことを観客に提示する。主人公たちが人生の扉を開けた時、部屋に新しい風が吹いたように、外に出て人と交わることで思いもよらなかった何かに出会う予兆を感じさせる。責任、価値観がもたらした恐れ、疑い、孤独から自由になる〈解放〉を象徴するかのようにミロンガが効果的に使われる。

イタリアを代表する演技派俳優とスタッフにも注目。『夫婦の危機』(2006)からモレッティ作品の常連になったマルゲリータ・ブイ(『母よ』(2015))、リッカルド・スカマルチョ(『あしたのパスタはアルデンテ』(2010))やアルバ・ロルヴァケル(『幸福なラザロ』(2018))、アドリアーノ・ジャンニーニ(『スウェプト・アウェイ』(2002))らイタリア映画界を牽引する演技派や『カストラート』(1994)のステファノ・ディオニジやドイツ人の母とイタリア人の父を持つデニーズ・タントゥッチ(「ひと夏の体験」(2018))らが出演。リアリティを出すためと監督が語る抑制された演技で濃密な時間を生み出した。脚本は監督がフェデリカ・ポントレモーリ(『ローマ法王の休日』)とヴァリア・サンテッラ(『母よ、』『シチリアーノ裏切りの美学』)と共に執筆し、自らヴィットリオ役を演じたのは脚本家たちの助言によるものだと言う。音楽は『ローマ法王の休日』に続いてフランコ・ピエルサンティが担当し、撮影はミケーレ・ダッタナージオ(『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』(2015))。

<STORY>

ローマの高級住宅街の同じアパートに住む3つの家族。顔見知り程度の隣人の扉の向こう側の顔を誰も知らない。ある夜、建物に車が衝突し女性が亡くなる。運転していたのは3階に住むヴィットリオとドーラの裁判官夫婦の息子アンドレアだった。同じ夜2階のモニカは陣痛が始まり、夫が長期出張中のためたった一人で病院に向かう。仕事場が事故で崩壊した1 階のルーチョとサラの夫婦は、娘を朝まで向かいの老夫婦に預けた。後日、ルーチョはジムに行くために軽率にも認知症が疑われる隣りの夫に娘を預け、二人は一時行方不明になる。ルーチョは娘に何か起きたのではと疑念を持ち始める。同時に自責の念におし潰され極端な行動に出てしまう。5年後、出所した3階の息子は家には戻らず、ドーラは夫に自分か息子かの選択を迫られる。2階の夫は変わらず出張続きで、義兄が起こした詐欺事件が世間を騒がせる。夫は頑なに兄を遠ざけるがモニカはその理由を知らない。ルーチョは疑念のせいで妻との間に溝ができ家を離れたが、いまだに疑惑を抱えたままだ。10年後、住人たちは自らの選択の結果に苦しめながら現実と向き合っている。彼らの未来の扉を開く鍵は何なのか?

ナンニ・モレッティ Nanni Moretti

1953年8月19日トレンティーノ=アルト・アディジェ州ブルーニコ生まれ。ローマで育つ。父は碑文研究者ルイジ・モレッティ。父はまた俳優として度々彼の作品に出演した。兄フランコ・モレッティは比較文学者・文学理論研究者で著書の邦訳もある。学生時代は映画と水球に熱中し、後に水球選手を主人公に映画『赤いシュート』(1989)を製作。1973年に切手のコレクションを売って手に入れたスーパー8で短編「La sconfitta」を、1976 年には最初の長編映画「Io sono un autarchico」を撮影。この作品で続く4作品でも自ら演じることになる架空の人物Michele Apicellaが登場する。Apicellaは母の旧姓。この作品は16ミリフィルムにブローアップされベルリンやパリのシネクラブなどでも上映された。77 年には俳優としてヴィットリオとパオロのタヴィアーニ兄弟が監督した『父 パードレ・パドローネ』に出演し、パルム・ドールを受賞。後にベルリン国際映画祭で金熊賞を受賞したタヴィアーニ兄弟の『塀の中のジュリアス・シーザー』(2012)の配給会社探しが難航していた時、いち早くこの作品を見抜き自身の会社サケルが配給に名乗りをあげた。1981年の『監督ミケーレの黄金の夢』でヴェネツィア国際映画祭審査員特別賞受賞。85 年には『ジュリオの当とまどい惑』ではベルリン国際映画祭、審査員特別賞を受賞。93年の『親愛なる日記』でカンヌ国際映画祭監督賞を受賞し、2001年の『息子の部屋』でパルム・ドールを受賞。『親愛なる日記』以降は監督作全てがカンヌ国際映画祭のコンペティション部門で上映され、2012 年には審査委員長を務めた。日本で劇場公開される機会は少ないが短編やドキュメンタリー作品も多く発表している。最新作は「Il sol dell’avvenire」で『夫婦の危機』でシルヴィオ・オルランドに主役の座を譲って以来久しぶりに主役を演じている。ローマでNuovo Sacherという映画館を共同経営している。名前はモレッティの好きなケーキ、ザッハトルテに由来する。

<インフォメーション>

ナンニ・モレッティ『3つの鍵』

9月16日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、UPLINK吉祥寺ほか全国ロードショー

【監督】ナンニ・モレッティ(『息子の部屋』『ローマ法王の休日』)

【脚本】ナンニ・モレッティ フェデリカ・ポントレモーリ ヴァリア・サンテッラ

【原作】エシュコル・ネヴォ「3つの鍵」(仮題)五月書房新社

【出演】マルゲリータ・ブイ『ローマ法王の休日』、リッカルド・スカマルチョ『あしたのパスタはアルデンテ』、アルバ・ロルヴァケル『幸福なラザロ』、ナンニ・モレッティ

2021年/119分/イタリア・フランス映画/原題:Tre piani/ 字幕:関口英子/後援:イタリア大使館/特別協力:イタリア文化会館/配給:チャイルド・フィルム 

【公式サイト】child-film.com/3keys

© 2021 Sacher Film Fandango Le Pacte

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