座・高円寺「劇場へいこう!」 2022

Buongiorno a tutti!

座・高円寺では、2009年の開館より地域の子どもたちのために作った作品を、地域の劇場で出会うことを目指し、「劇場へいこう!」というプログラムを行っています。毎年、杉並区および杉並区教育委員会の協力を得て、これまで4万人を超える杉並区内の小学校4年生を劇場に招待してきました。2012年からは、子どもたちの「劇場に行きたい」という願いに等しく応えるため、招待枠を中学生以下の子どもたち「全員」に広げ、中学生以下ならだれでも無料で観劇できるようにしています。

観劇は、劇場の未来に向けて、作品づくり、劇場という場づくり、人材づくりにもつながります。劇場文化の魅力を伝えたい、こうした思いを、作品に託して上演してきましたが、今年は、劇場レパートリーとして6年目の上演を迎える佃典彦 上演台本、西沢栄治 演出『フランドン農学校の豚~注文の多いオマケ付き』と、テレーサ・ルドヴィコ脚本・演出の新作『小さな王子さま』を​​ご覧いただきます。

『フランドン農学校の豚~注文の多いオマケ付き』は、宮沢賢治の2つの童話から生まれた舞台です。人が生きるために避けられない「食」。子どもたちにとっても日常的に耳にする食品ロスや食育にまつわる問題。演劇を通して、そうした問題の根底にある「食べること」そして「命」の大切さを感じ、考えてもらおうと、ストーリーテラーとして評価の高い劇作家、佃典彦に依頼して賢治の『フランドン農学校の豚』と『注文の多い料理店』を元にこの作品を創りました。

多彩な座組でさまざまなスケール感の作品を手掛け、経験豊かな演出家として注目を浴びる西沢栄治が、子どもたちに真っ向から向き合って創る本作品は、シリアスな内容の中にも、ユーモア、笑い、涙があり、歌とダンスを交えた五感を総動員できる舞台です。宮沢賢治の言葉の美しさを生かした俳優たちのセリフは、観る人の想像力を刺激し、リズミカルな歌と巧みなステージングは、演劇の楽しさを伝えます。荒井志郎、大野朱美、和田裕太、塚本淳也、小玉雄大、伊島 青、6人の出自の異なる個性的な俳優たちが「鼻」をつけることで順番に豚に変身し、豚の気持ちを演じていく様は、次は自分が、と、観ている観客を引き込みます。

「生きるために食べる」という人にとっての命題を、観客が互いに投げかけ、互いに考えあえるような、多様な可能性をもった作品です。同じ問題を同じ目線で考えるこの作品は、広い年代に好評を博し、2020年からは文化庁の学校巡回公演として全国の子どもにも、芝居を通して命と食の大切さを届けています。また、平成30年度厚生労働省社会保障審議会推薦作品となりました。

佃典彦(つくだ・のりひこ) 上演台本

愛知県出身。劇作家・俳優・演出家 劇団B級遊撃隊主宰。『KANKAN男』で第四回読売演劇大賞優秀作品賞。『ぬけがら』で第五十回岸田國士戯曲賞など受賞多数。

西沢栄治(にしざわ・えいじ) 演出

東京都出身。演出家。JAM SESSION主宰。日本演出者協会「若手演出家コンクール2003」で最優秀賞受賞。これまでの主な演出作品に『天保十二年のシェイクスピア』『女の平和』『四谷怪談』『阿部定の犬』『十二人の怒れる男』ほか。

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シンプルな舞台装置と、カラフルな色づかいで独創的な作品世界を創り続けているイタリアの演出家テレーサ・ルドヴィコ。観客の想像力を喚起する質の高い作品を発表し続けている彼女が手掛ける、座・高円寺3作目となる作品が、この『小さな王子さま』です。

テレーサは自分の作る作品についてこう説明します。「<子どもに向けて創ったけれど、大人も楽しめる作品>が、子どもも大人も楽しめる作品と呼ばれて、世界中で上演されています。ですが、私が作る作品は、そうした作品とは異なります。最初から<すべての観客を視野に入れて>創っています。つまり子どもは子どもの目線で、大人は大人の目線で見ることができる作品。客席で、もしかしたら違う要因で涙できるような、子どもも大人も等しく心動かすことができる作品です」

今回新作として選んだサン=テグジュペリの『星の王子さま』は、誕生してから80年、どの時代にも、子どもにも大人にも愛され続け、今では200以上の言語に訳され出版されています。物語の中で、私たちは、感動や感情のような大事なことは目には見えず、そうしたものは理性ではなく心から生まれるものだということ、小さな王子さまの宇宙の旅は、生きることの意味、友だちの意味、愛について考えるための思考の旅であることを、教えられるのです。

舞台は、原作と同じ時代。テレーサは、そうした話の内容をより現代の私たちに近づけて受け止めてもらうために、原作にはない登場人物を加えています。小さな王子が旅をしながら直面するのは今の私たちにとって重要な問題(気候変動、飢饉、森林の消滅、戦争、疫病、さまざまな依存症など)。それらを象徴する人物を登場させることで、観る人にこの話の自分の問題として考えることを促します。

彼女の思いを伝える演者たちは、前作『ピノッキオ』にも出演した俳優、髙田恵篤、髙橋優太、曽田明宏、今回新しく加わるダンサー酒井直之、山崎眞結、藤村港平、浅川奏瑛の7人。それぞれがセリフと音と体で表現する世界は、たった60分にも関わらず、アコーディオンの蛇腹のように、様々な要素が折りたたまれ凝縮されたテレーサ・ルドヴィコならではの世界を再現してくれることでしょう。ご期待ください。

テレーサ・ルドヴィコ 脚本・演出

93年よりテアトロ・キズメット(イタリア)で脚本、演出を手掛ける。世界各国で称賛を浴びた『美女と野獣』は、イタリア国内で「子どもと青少年向けの演劇ベストワン(lo stregagatto賞)」を受賞。『小さな王子さま』は、座・高円寺開館記念に創った『旅とあいつとお姫さま』、2作目『ピノッキオ』に次ぐ3作目。日本では他に『雪の女王』『にんぎょひめ』を演出。

私は長年、子どもにも大人にも関心を持ってもらえる物語を舞台化してきました。『星の王子さま』はそうしたお話の一つです。

作者は冒頭で記します。「すべての大人はかつて子どもだった。しかしそのことを覚えている大人は少ない」。

本来、子どもの世界と大人の世界はぴったり一つに重なるはずなのに、大人は自分が子どもだった時のことを忘れ、二つの世界に分かれてしまっています。例えば、幸福とはモノやコトそれ自体ではなく、それらをどうとらえるかということです。子どもは無意識のうちに、驚きや無邪気さ、あるいは好奇心を持ったり、感激したりすることを通して、幸福になる術を知っています。しかし、大人になると多くの場合、こうした幸福を見失ってしまいます。

このお話のなかで、王子さまは、飛行士の子ども時代を象徴しています。砂漠で出会った小さな王子さまは、銀河の星々で出会った人々に感じたことをパイロットに語ります。例えば、暴力や憎しみはたちまち大きくなるが、愛と友情はゆっくり育まれるということ。地球で出会ったキツネが王子さまに教えてくれたのは、関係を築くということは、相手にとってかけがえのない存在になること。そしてそれには時間と忍耐と献身が必要だということ。

「心で見ないとものごとは見えない。大事なことは目には見えない」キツネは別れていく友だちにこう言いました。

小さな王子さまは、パイロットが忘れてしまっているかもしれない大事なことを思い出させるかのような存在です。小さな王子さまの宇宙の旅は、私たちに生きることの意味、友だちの意味、愛について考えるよう促しているのです。

大人も子どもも魅了する演劇には、気づき、学び、成長の体験を共有できるという意味で大きな可能性があります。私が演出を考えるとき、つねに意識しているのは「大事なことは目には見えない」という言葉です。何もない空間で、照明による光と影を最大限に生かし、少ない装置や俳優で演じる、たとえば、飛行機が他のものに姿を変えたり、7人の演者が歌い、踊り、衣装を次々と変えたりしながら、たくさんの登場人物を演じます。すべてが夢の中のように宙に浮いているイメージです。

驚く力を持ち続けるためには、私たちは自分が子どもだったことを決して忘れないようにしなければなりません。このお芝居には、皆さんにそれを思い出させてくれる力があると信じています。

テレーサ・ルドヴィコ

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<インフォメーション>

座・高円寺 劇場へいこう!

『フランドン農学校の豚~注文の多いオマケ付き』 

2022年9月1日(木)~9月18日(日)

原作:宮沢賢治 上演台本:佃典彦 演出:西沢栄治

出演:荒井志郎、大野朱美、和田裕太、塚本淳也、小玉雄大、伊島 青

新作『小さな王子さま』

2022年9月26日(月)~10月9日(日)

脚本・演出:テレーサ・ルドヴィコ

翻訳・通訳:石川若枝 台本監修:佐藤信 美術:ルカ・ルッツァ

出演:髙田恵篤、髙橋優太、曽田明宏、酒井直之、山崎眞結、藤村港平、浅川奏瑛

◎協賛:東邦ホールディングス株式会社、劇場へいこう!サポーターズ

◎助成:文化庁文化芸術振興費補助金(劇場・音楽堂等機能強化推進事業)|独立行政法人日本芸術文化振興会

◎後援:イタリア文化会館(『小さな王子さま』)、杉並区 杉並区教育委員会

◎企画・製作: NPO法人劇場創造ネットワーク/座・高円寺

◎会場:座・高円寺1

◎全席自由(税込)

中学生以下の皆さんは無料です(事前に、座・高円寺チケットボックスにご予約ください)

・大人(18歳以上)3,000円

・ユース(16歳以上)2,000円

・「お星さま」割引:大人4,000円/ユース3,000円(『フランドン農学校の豚』と『小さな王子さま』の2作品をご覧いただけます(劇場チケットボックス窓口で、前売りのみ取扱い)

※劇場チケットボックス窓口では、杉並子育て応援券が使えます。

◎チケット取扱い

座・高円寺チケットボックス 03-3223-7300(TEL10:00~18:00/窓口10:00~19:00/月曜は休み) https://za-koenji.jp/

チケットぴあ TEL0570-02-9999 http://pia.jp/t/ Pコード:513-103

◎以下のサービスも、座・高円寺チケットボックスで承ります。

※車椅子のままで観劇をご希望の方のために、車椅子スペースをご用意しております。(定員あり/前日までに要予約)。車椅子の大きさに制限がございますので、お申し込みの際にお問い合わせください。

※障がい者手帳をお持ちの方は、座・高円寺チケットボックスお求めいただくと、1割引になります。

◎ご来場のお客さまにお願いです

・ご来場の際には、マスクをご着用いただき、劇場入り口での検温、手指消毒にご協力をお願いします。また、体温が37.5度の発熱や咳、咽頭痛などの症状のある方、体調に不安を感じる方、感染症療養期間が終了していない方、濃厚接触、帰国・入国等の自宅待機期間が終了していない方はご来場をお控えください。

◎お問合せ:座・高円寺 TEL03-3223-7500

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Filed under: お知らせ — イタリア文化会館東京 09:32
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