映画『ミス・マルクス』

Buongiorno a tutti!

カール・マルクスの娘エリノア・マルクス。その知られざる激動の半生を初映画化!

(Photo by Emanuela Scarpa)

19世紀を代表する哲学者、経済学者カール・マルクスの末娘エリノア・マルクスの激動の半生を描いた『ミス・マルクス 』 (原題:MISS MARX 配給:ミモザフィルムズ)がシアター・イメージフォーラム、新宿シネマカリテを皮切りに、9月4日(土)から全国順次公開となります。

 主人公エリノアに扮するのは、フランソワ・オゾンの『エンジェル』(07)で脚光を浴び、『つぐない』(07)、『未来を花束にして』(15)やBBCのテレビシリーズ『エマ〜恋するキューピッド〜』(09)で高い評価を受けたロモーラ・ガライ。知性と洞察力を持ちながらも、抜き差しならない恋愛に引きずられるエリノアの心情を鮮烈に表現。「控えめながら、文句なしに人の心を打つ演技」(英・ガーディアン紙)、「強烈なパフォーマンス」(米・インディワイアー誌)など、世界的に絶賛を浴びました。

 またエドワード役には『戦火の馬』(11)や、Netflixの世界的大ヒットドラマ『クイーンズ・ギャンビット』(20)で知られる演技派パトリック・ケネディが扮する他、カール・マルクス役を『大いなる沈黙へ グランド・シャルトルーズ修道院』(05)のフィリップ・グレーニング監督が演じます。

 監督・脚本を手掛けたのは、前作『Nico, 1988』(17)でヴェネツィア国際映画祭オリゾンティ部門作品賞を受賞したイタリア出身のスザンナ・ニッキャレッリ監督。本作『ミス・マルクス 』は2020年のヴェネツィア国際映画祭でワールド・プレミアを迎え、FEDIC賞(イタリア・シネクラブ連盟賞)、ベストサウンドトラックSTARS賞を受賞しました。またイタリアのアカデミー賞と言われるダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞で11部門のノミネートを受け、プロダクション賞、作曲賞、衣装デザイン賞の3冠を受賞しています。衣装にもニッキャレッリ監督のモダーンなアプローチが反映され、クラシックなスタイルを踏襲しながらも、70年代のヒッピー文化に顕著なペイズリー柄を彷彿させるようなカラフルなアレンジが見られます。

(Photo by Dominique Houcmant)

<STORY>

1883年、イギリス。最愛の父カールを失ったエリノア・マルクスは劇作家、社会主義者のエドワード・エイヴリングと出会い恋に落ちるが、不実なエイヴリングへの献身的な愛は、次第に彼女の心を蝕んでいく。社会主義とフェミニズムを結びつけた草分けの一人として時代を先駆けながら、エイヴリングへの愛と政治的信念の間で引き裂かれていくエリノアの孤独な魂の叫びが、時代を超えて激しいパンクロックの響きに乗せて現代に甦る。

エリノア・マルクス Eleanor Marx

1855年1月16日、イギリス、ロンドンで、マルクス家の6人目の末娘として生まれる。

長女ジェニー、次女ラウラとエリノア以外の子どもは幼くして亡くなっている。ジェニー・ジュリア・エリノアと名付けられ、若い頃から「トゥッシー」のあだ名で呼ばれた。子どもの頃から政治に深い関心を抱き、10代から父の秘書として働く。労働者や女性の権利のための戦いに人生を捧げる一方で、父の遺作、そして「資本論」の英語版の刊行を手掛けた。また、幼い頃からウィリアム・シェイクスピアを始めとする文学や演劇への関心が深く、後に文学作品や演劇作品の翻訳も手掛けている。ギュスターヴ・フローベールの「ボヴァリー夫人」やヘンリック・イプセンの戯曲「海の夫人」や「民衆の敵」などを最初に英訳し、「人形の家」のノラ役を始め、その戯曲を俳優として演じることもあった。きわめて強い政治的信条を持ちながら、感情面では非常にもろかったエリノアは、劇作家・俳優で確固たる信念をもった社会主義者だったエドワード・エイヴリングとの有害な関係に負けてしまった。

エリノアの人生は、現代において女性であることがはらむ多くの矛盾や、女性解放の過程の複雑さを示している。ブルジョア階級、労働者階級を問わず、家庭内で女性が強いられる服従から、児童労働の残酷さに至るまで、いくつかの問題の緊急性を初めて明示したのが、エリノアと彼女の同志たちだった。1898年3月31日死去。享年43歳。

<インフォメーション>

映画『ミス・マルクス』

9月4日(土)、シアター・イメージフォーラム、新宿シネマカリテより、全国順次公開!

監督・脚本:スザンナ・ニッキャレッリ

出演:ロモーラ・ガライ、パトリック・ケネディ、ジョン・ゴードン・シンクレア、フェリシティ・モンタギュー、フィリップ・グレーニング

2020年/イタリア=ベルギー/英語・ドイツ語/107分/カラー/ビスタ/5.1ch/原題:Miss Marx/字幕:大西公子

後援:イタリア大使館、イタリア文化会館、ベルギー大使館

配給:ミモザフィルムズ

© 2020 Vivo film/Tarantula

公式サイト:https://missmarx-movie.com

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レオナルド・シャーシャ 1921-2021

(segue italiano)

レオナルド・シャーシャ(1921年1月8日 ラカルムート – 1989年11月20日 パレルモ)は、イタリアの作家、ジャーナリスト、随筆家、劇作家、詩人、政治家、美術評論家、教師です。

今年はシャーシャの生誕100周年にあたります。
この記念の年に際し、イタリア文学者であり、シャーシャの作品の翻訳家である 神戸在住の武谷なおみ氏が、レオナルド・シャーシャ財団のインタビュー動画「シャーシャと共に3分間」の紹介コメントを、イタリア文化会館のブログに寄せました。
(動画はイタリア語のみ)

「レオナルド・シャーシャ生誕100年を記念して」 

2021年1月8日。「レオナルド・シャーシャ生誕100年」を記念して作家の故郷シチリアで予定されていた種々の集いはコロナ禍でオンライン配信となりましたが、イタリア中の新聞、ラジオ、テレビ、ネットによる報道で、「シャーシャ100才」の検索数がたちまち117万件をこえました。

 1960年代から1989年の死に至るまで、イタリアでなにか大きな事件が起きると人々は、シャーシャの論評に固唾を呑んで聞き入りました。

 ハリウッド映画ふうのマフィアでなく、学校、職場、議会など、どんな場所にもひそむ「マフィア型社会」の危うさを訴えた小説に関心があつまり、日本でも『真昼のふくろう』『人それぞれに』『脈絡』(邦題『権力の朝』)『マヨラナの失踪』『モーロ事件』『単純な話』など、長編6作と5つの短編が訳されました。

 シャーシャが死の床で書いた『単純な話』のなかで、年老いた国語の先生が語ります。「イタリア語は、たんにイタリア語であるだけではありません。ものごとを理性的に考えることです」。翻訳しながらわたしはこれを、作家の遺言と受け止めました。

 そして今、故郷ラカルムートの小さな墓地にねむるシャーシャは自らの墓に刻んだ言葉で呼びかけます。「おぼえていよう、この惑星を」。

 このたび「シャーシャ財団」の依頼で、「シャーシャと共に3分間」のスピーチに参加しました。交流のあった友人や芸術家や研究者が、作家と作品について語ります。

 シチリアから世界を見すえ、アメリカ合衆国、ソ連、広島までも視野を広げて、自分の頭で真実を追求せよと読者を促す「マエストロ」に心からの感謝をこめて。

(武谷なおみ イタリア文学研究者)

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Leonardo Sciascia (Racalmuto, 8 gennaio 1921 – Palermo, 20 novembre 1989) è stato uno scrittore, giornalista, saggista, drammaturgo, poeta, politico, critico d’arte e insegnante italiano.

Quest’anno si festeggiano i 100 anni dalla nascita dello scrittore siciliano.
La professoressa Takeya Naomi, residente a Kobe, italianista e traduttrice di alcune delle opere di Sciascia, ha scritto per il blog dell’Istituto un commento a introduzione dell’intervento tenuto per la Fondazione Leonardo Sciascia, in occasione delle celebrazioni di quest’anno.
Il video dell’intervento “3 minuti con Leonardo Sciascia” è in italiano senza sottotitoli.

Per i cento anni dalla nascita di Leonardo Sciascia

“L’ 8 gennaio 2021 è stato il centenario della nascita di Leonardo Sciascia. Purtroppo tutti gli eventi commemorativi programmati nella sua Sicilia sono stati spostati online per via della pandemia, ma la notizia è stata riportata da giornali, radio, televisione e dal web, facendo sì che il numero di ricerche sul compleanno di Sciascia sia giunto a oltre 1,17 milioni di click.

Dagli anni ’60 fino alla sua morte, avvenuta nel 1989, ogni volta che in Italia si verificava un ‘caso’ di una certa gravità gli italiani si rivolgevano ai lucidi commenti dello scrittore. I suoi romanzi hanno al centro la denuncia dei pericoli che crea la vera mafia, non quella dei film hollywoodiani, ma la “società mafiosa” nascosta in ogni luogo, dalle scuole ai luoghi di lavoro alla politica, ed hanno polarizzato l’attenzione di molti anche in Giappone, tanto che sono stati tradotti 6 romanzi (Il giorno della civetta, A ciascuno il suo, Il contesto, La scomparsa di Majorana, L’affare Moro, Una storia semplice) e 5 racconti.

Come Sciascia fa dire a un vecchio professore di italiano in Una storia semplice, scritto poco prima di morire: “L’italiano non è l’italiano: è il ragionare”. Mentre traducevo il libro, ho fatto di questa frase il testamento dello scrittore.

E ora Sciascia, che riposa nel piccolo cimitero della sua città natale, Racalmuto, ci parla tramite il suo epitaffio: “Ce ne ricorderemo, di questo pianeta”.

Su richiesta della Fondazione Leonardo Sciascia, ho partecipato all’iniziativa “3 minuti con Leonardo Sciascia” (curata da Fabrizio Catalano): amici, artisti e studiosi parlano del loro rapporto con lo scrittore e delle sue opere.

Con tutta la mia gratitudine al Maestro, che ha guardato al mondo, dalla Sicilia agli Stati Uniti, all’Unione Sovietica e fino a Hiroshima, e invita i suoi lettori a perseguire la verità con la propria testa.”

Takeya Naomi, italianista 

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映画『わたしはダフネ』

Buongiorno a tutti!

ダフネが教えてくれる。

大事なのは、自分を好きになること。人を信じること。

第69回ベルリン国際映画祭パノラマ部門で国際批評家連盟賞を受賞したイタリア映画『わたしはダフネ』が、7月3日(土)より、岩波ホールほか全国にて公開されます。

本作は、2008年の長編デビュー作「Mar Nero」で、第61回ロカルノ国際映画祭の最優秀女優賞とエキュメニカル審査員賞を受賞し、イタリアの新鋭監督として注目されるフェデリコ・ボンディ監督の約10年ぶりとなる最新作で、最愛の母を亡くしたダウン症の娘ダフネと父ルイジが、悲しみを乗り越えて、互いを理解し合うかけがえのない旅へと歩みだす姿を描いた作品です。

<STORY>

ダフネは快活で明るいダウン症の女性。スーパーで働きながら、母マリア、父ルイジと平穏に暮らしていた。しかしマリアに突然の死が訪れ生活が一変。年老いたルイジは自分が死んだら娘が独り残されてしまう、と不安に苛まれてふさぎ込んでしまう。ある日、ダフネは、母の生まれた村を訪れてみようと父に提案。その旅は、愛する人の死を乗り越え、お互いを理解し合うための、かけがえのないものになっていく…。

主演を務めるのは、自身もダウン症のカロリーナ・ラスパンティ。スーパーマーケットで働く傍ら、自伝本を上梓するなど創作活動も活発に行っており、2019年にはその活動が評価され、元サッカー日本代表の中田英寿氏なども受勲した「イタリア共和国功労勲章【カヴァリエーレ章】」を受勲しています。SNS上でボンディ監督に見いだされ、演技未経験ながら映画に初出演。チャーミングでシニカルなダフネを誕生させました。ボンディ監督はカロリーナの存在そのものが作品に大きな影響を与えたと語っており、カロリーナの自然な表情 や言葉を引き出すために、彼女には一度も脚本を読ませなかったと語っています。ベルリン国際映画祭での上映後には、カロリーナ本人が舞台に登壇し、彼女に魅了された観客たちから割れんばかりの拍手が贈られました。

共演には、『サスペリア』(77)で主人公の友人サラ役を演じ、昨今は脚本家・監督としても活躍するステファニア・カズィーニが母親役として名を連ねています。エグゼクティブ・プロデューサーは、『幸福なラザロ』(18)やマッテオ・ガローネ監督の『ドッグマン』『Pinocchio』(19)など昨今の良質なイタリア映画に数多く参加してきたアレッシオ・ラザレスキー。ささやかな日常にこそ真実があり、与え合い赦し合うことが幸せへの道なのだと教えてくれる、新たなる珠玉のイタリア映画が誕生しました。

『撮影現場において、彼女の存在は私たち全員にとってインスピレーションそのものだった。カロリーナは、他者に影響されることなく、自分と他の人との違いを受け入れ、常に折り合いをつけながら、成熟した穏やかさの中で生きている。最近の世の中は、十分に効率的であることや心の痛みを克服することを”強要”する(大切な人を失った喪失感のための薬さえある!)。一方で、カロリーナ/ダフネは、自分がいる状況を受け入れることを思い出させ、人を精一杯に生きさせる。』

ーディレクターズ・ノートより抜粋

フェデリコ・ボンディ Federico Bondi

1975年、イタリア・トスカーナ州フィレンツェ生まれ。フィレンツェ大学にて映画を専攻。卒業後、脚本と監督を務めた初長編作品「Mar Nero」(08)を発表。老夫人とその介護をする女性との関係を描いた同作が2008年ロカルノ国際映画祭のコンペティションにイタリア映画として唯一選出され、最優秀女優賞、エキュメニカル審査員賞、ヤング審査員賞を受賞する。さらに、イタリア・アカデミー賞ともいえるダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞では主演女優賞にノミネート、ナストロ・ダルジェント賞では新人監督賞にノミネートされるなど高評価を得た。以降は、広告やドキュメンタリー作品の監督を務め、『わたしはダフネ』は2作目の長編劇映画である。主な作品に、「Soste」(01)、「Soste Japan」(02)、「L ’uomo planetario」「L’utopia di Ernesto Balducci」(05)、「Educazione affettiva」(14)などがある。(※『わたしはダフネ』以外は日本未公開)

カロリーナ・ラスパンティ Carolina Raspanti

1984年、イタリア・エミリア・ロマーニャ州生まれ。優秀な成績で卒業後、地元の生協スーパーに就職し、現在も働いている。”This is my life”と”Meet and get to know each other: the World of Carolina”の2冊の自伝小説を上梓し、本の収益は全てダウン症の人々を支援する協会に寄付されている。イタリアの各地で講演活動も行い、現在は『わたしはダフネ』での映画出演体験をもとに3冊目を執筆中。本作で主演を務めたことがきっかけで新聞やテレビなどで紹介されることも。ちなみに本作はカロリーナ自身のキャラクターからもインスパイアを得ている。

<インフォメーション>

映画『わたしはダフネ』

7月3日(土)より、岩波ホールほか全国順次公開!

監督・脚本:フェデリコ・ボンディ

原案:フェデリコ・ボンディ、シモーナ・バルダンジ

プロデューサー:マルタ・ドンゼリ、グレゴリオ・パオネッサ

撮影:ピエロ・バッソ

編集:ステファノ・クラヴェロ

音楽:サヴェリオ・ランツァ

衣装:マッシモ・カンティーニ・パリーニ

出演:カロリーナ・ラスパンティ、アントニオ・ピオヴァネッリ、ステファニア・カズィーニ、アンジェラ・マグニ、ガブリエレ・スピネッリ、フランチェスカ・ラビ

2019年/イタリア/イタリア語/94分/カラー/シネマスコープ

原題:DAFNE

字幕翻訳:関口英子

配給:ザジフィルムズ www.zaziefilms.com/dafne/

後援: 公益財団法人日本ダウン症協会

(c) 2019, Vivo film – tutti i diritti riservati

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演奏会『百⼈⼀⾸のための注釈』

Buongiorno a tutti!

7月31日(土)に、演奏会『百人一首のための注釈』が音楽の友ホールにて行われます。

アレッシオ・シルヴェストリン作曲『百人一首のための注釈』は、5-7-5-7-7という類稀で、コンパクトな韻律に捧げられています。貴族から武士の時代への転換期に、藤原定家によって編纂された『百人一首』は、ひとつの音楽的できごとの中で再発見されるでしょう。このあまりにも知られた百の詩歌が次から次へと躍動していく『百人一首のための注釈』は、始原にある複雑さをおびた儀式へとみなさまをいざないます。

 新しい「規範」が⽇常を包摂すると、「形式」はかえって防腐された社会とのコントラストの⾼まりの中で現前化し、⼈間的なものの抑えがたい昇華は、⾮依存的な抵抗のしるしとなるかもしれません。歴史は知覚へと差し向けられ、⽂化といわれる遺産の同⼀性は、新たな⽔平性において過去へと受⾁していくでしょう。
 ソプラノ、バリトン、アルトフルート、ヴィブラフォン、ピアノのための『百⼈⼀⾸のための注釈』は、2012年にアレッシオ・シルヴェストリンにより作曲され、2020年に改訂されました。『百⼈⼀⾸』の百の詩歌がひとつひとつ、ひとつの作品へとふたたび蒐集され、それらを嵌めこんでいた短歌という鋳型そのものがコンパイルされる過程は、現代との対話を宙づりにする⽇本的、歴史的節度をさらに凝縮する、隠喩的な含みになるでしょう。
 5 – 7 – 5 – 7 – 7というコンパクトなメトリックにもっぱら捧げられた『百⼈⼀⾸のための注釈』において、それに拮抗するのは、⼆項関係に還元できない三項関係からなるトリコルドという単⼀のオブジェクトがオクターブの軛を超えて運動するセリーの充溢です。トリコルドの順列組合せによって合成に合成を重ねる連鎖のフラクタル様の形式の中に、⾳楽的内容が発⽣します。形式と内容のこのような動的なアレンジメントの発⽣によって、⽿は始原の複雑さを「詠み/読み」、儀式の儀式性へと誘われます。それは、時間を貫く、⽂化/表出の変換と変容への呼びかけ、存在論的な瞑想です。⾃然の詩的な神秘は、抽象的な思考を超えて、可感で⼈間的な、もろもろの欲望の共振を震わせていくのです。

アレッシオ・シルヴェストリン

『百⼈⼀⾸のための注釈』
作曲・演出:アレッシオ・シルヴェストリン
指揮:夏⽥昌和
ソプラノ:⾜⽴歌⾳
バリトン:仁賀広⼤
アルトフルート:中村淳
ヴィブラフォン:須⾧竜平
ピアノ:⽥中翔⼀朗

「カルタ・インスタレーション・パフォーマンス」
出演:⼋嶋智⼈
書:藤森陽⼦

アレッシオ・シルヴェストリン Alessio Silvestrin

モナコ・プリンセス・グレース・クラシック・ダンス・アカデミー、ローザンヌ・ルードラ・ベジャールを奨学金で卒業。ベジャール・バレエ・ローザンヌ、リヨン国立オペラ・バレエ、ウィリアム・フォーサイス率いるフランクフルト・バレエ団にソロ・ダンサーおよび振付家として所属。フォーサイス・カンパニーにゲスト出演。一方、イタリア・ヴィチェンツァのアリッゴ・ペドロッロ音楽院でピアノを、モナコのレニエ三世音楽院でチェンバロを、イタリア・マニアーノの古楽コースではクラヴィコードを学ぶ。フランチェスコ・ヴァルダンブリーニに作曲を師事し、トリコルダーレ(Tricordale)音楽技法を学んだ後、独自に作曲における探求を続け、その過程で生まれた作品は自身の振付作品にもしばしば使用される。2015年、ピアノのための「凍れる音楽」、サンフランシスコで Audible Cities Composition Competition の最優秀賞を受賞(2017年大井浩明により日本初演)。2016年、ロワイヨモン財団の委嘱でピアノのための「三つの渦」を発表。同年、アンサンブル室町の演奏プログラムの中でチェンバロとフォルテピアノのための「31の短歌」を発表。2017年、ドイツ・キュルテンにてシュトックハウゼン講習に参加。ヴェネツィア・ビエンナーレ、ドイツ・カールスルーエZKM、愛知芸術文化センター、Noism 01 から委嘱。 東京文化会館にて花柳流と共作。2019年パリ・オペラ座にて杉本博司演出の『鷹の井戸』を振付(NHKにて放送)。洗足学園音楽大学講師。

<インフォメーション>

『百⼈⼀⾸のための注釈』

主催:アレッシオ・シルヴェストリン

協⼒:アンサンブル室町

助成:公益財団法⼈東京都歴史⽂化財団 アーツカウンシル東京

会場:⾳楽の友ホール

⽇程:2021年7⽉31⽇(⼟)

開場/開演:① 13:30/14:00 ② 17:30/18:00

チケット:⼀般 4,000円 / 学⽣ 2,500円(全席⾃由・税込)

お問い合わせ:Confetti(カンフェティ) 
http://confetti-web.com/alessio2021

電話 0120-240-540*通話料無料(受付時間 平⽇10:00~18:00 ※ オペレーター対応)

初演のためのクラウドファンディングを始めました。

詳しくはリンク先をご参照ください:

https://motion-gallery.net/projects/hyakunin_chushaku

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ポコラート世界展 「 偶然と、必然と、」ー障害のある人、ない人、アーティストの生の表現を世界に解き放つー

Buongiorno a tutti!

この度、千代田区とアーツ千代田 3331はポコラート事業10周年を記念し、世界22ヶ国の作家50名による展覧会、ポコラート世界展「偶然と、必然と、」ー障害のある人、ない人、アーティストの生の表現を世界に解き放つーを開催します。

本展では、世界22ヶ国から「美術」という枠にとどまらない創作物を集め、アーツ千代田 3331に展示します。多様な地域性や文化を反映しながらも、作者の内なるエネルギーが形となって現れた唯一無二の表現を一堂にご覧いただける機会です。

出展国(50音順):アメリカ合衆国、イギリス、イタリア、イラン、インドネシア、オーストリア、カナダ、キューバ、スイス、スウェーデン、チェコ、中国、ドイツ、ナミビア、日本、ニュージーランド、ブラジル、フランス、ベナン、ベルギー、ポーランド、モロッコ

本展の展示作品は、芸術文化人類学を専門とするキュレーターが約1年を費やして世界23都市で独自にリサーチし、キュレーションを行いました。海外から出展する35名の作家のうち、28名の創作が日本初公開となります。中でもキューバ出身の元数学者であり、ダンボールに独自の数式やキューバ革命の英雄などを描くカルロス・ハビエル・ガルシア・ウエルゴや、ナミビアで観光客向けの土産物として鳥のような様相をもつ「飛行機」を制作するイマニュエル・マペウの創作は文化施設での公開が世界初となります。

ご紹介する創作の中には、アール・ブリュット(*)やアウトサイダー・アート(*)といったカテゴリーに位置付けられるものもあります。本展ではそれらのカテゴリーに属する創作だけではなく、常識、偏見、社会的判断といったあらゆる既存の価値観から解き放たれた、時に常軌を逸した「生の表現」と出会うことができます。

イタリアからは、クルツィオ・ディ・ジョヴァンニ氏が参加します。

クルツィオ・ディ・ジョヴァンニ CURZIO DI GIOVANNI

金髪の少女/A girl with blond hair
2010
鉛筆、色鉛筆、紙/Pencil, colored pencil, paper
34×24cm
photo: Olivier Laffely, Lausanne

1957年ロンバルディア州ローディ生まれ。器質性疾患による発達の遅れで長きにわたり精神医療施設に通い、1979年パヴィア近郊の病院に入院する。入院後、蒐集を始めたディ・ジョヴァンニは、色々なものをポケットやかばんに保管し、決して目を離さない。絵に対して大きな興味を示した彼は、2001年以降病院近くのアトリエで自由に絵を描き、様々な作品を制作している。彼の絵がしわくちゃに丸められ、ポケットに隠され、彼と常に行動を共にすることは、彼と彼の作品の間のきずなを証明するかのようだ。動物や人物の写真からインスピレーションを受け、彼にとって重要な要素のみを残して描く。はっきりとした線が形の輪郭を明確にする様子は、まるでモザイクのようであり、その「小片」は色鉛筆により塗りつぶされる。デフォルメされた顔や体の形は、しばしば白のまま残される背景からくっきりと浮かび出る。

* アール・ブリュット(フランス)

フランス人の画家、ジャン・デュビュッフェが考えた造語。「ブリュット」はフランス語で「加工していない」「ありのままの」という意味で芸術でいうと「アートに加工を施していない」というニュアンスになります。精神病患者、受刑者、子ども、民俗芸術や交霊術によるアフリカやオセアニアの人たちの作品など、専門的な美術教育を受けない人びとによる表現を指します。

* アウトサイダー・アート(イギリス)

1972年、「アール・ブリュット」をイギリスの美術批評家、ロジャー・カーディナルが訳したもの。またこれ以前には、アメリカの社会学者であるハワード・S.ベッカーがアーティストやミュージシャンの、社会から逸脱した行動を論じた「アウトサイダーズ」(1963年)という論文を発表しており、いわゆる美術界の主流には影響されずに独自に生み出される表現を指して使われます。

【ポコラートとは?】

ポコラート(POCORART)とはPlace of “Core+Relation ART”。障害の有無に関わらず人々が出会い相互に影響し合う場所であり、その場を作っていく行為を示す名称です。

詳しくはこちら:https://pocorart.3331.jp/about/

<インフォメーション>

展覧会名:ポコラート世界展 「 偶然と、必然と、」ー障害のある人、ない人、アーティストの生の表現を世界に解き放つー

会  期:2021年7月16日(金)〜9月5日(日) 会期中無休

開場時間:11:00〜18:00 入場は17:30まで

会  場:アーツ千代田 3331  1階 メインギャラリー 〒101-0021 東京都千代田区外神田6-11-14 旧練成中学校

料  金:800円 65歳以上は500円。中学生以下・千代田区民は身分証のご提示で無料。 障害者手帳をお持ちの方とその付添の方1名は無料。

主  催:千代田区、アーツ千代田 3331

協  力:スイス・プロ・ヘルヴェティア文化財団、オーストリア文化フォーラム東京

特別協賛:中外製薬株式会社

協  賛:三菱地所株式会社

後  援:アメリカ大使館、イタリア文化会館、(一財)日伯経済文化協会(ANBEC)、一般社団法人千代田区観光協会、カナダ大使館、在日スイス大使館、在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本、スウェーデン大使館、チェコセンター東京、チェコ共和国大使館、駐日イタリア大使館、駐日キューバ共和国大使館、ドイツ連邦共和国大使館、ニュージーランド大使館、ブラジル大使館、ブリティッシュ・カウンシル、ベルギー王国フランス語共同体政府国際交流振興庁(WBI)、べルギー大使館、ポーランド広報文化センター、モロッコ王国大使館

特設サイト:https://pocorart.3331.jp/world2021/

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美に触れる。ナポリ・カポディモンテ美術館がワクチン接種会場に

Buongiorno a tutti!

イタリアの多くの美術館や公園は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、残念ながら現在も閉鎖されています。しかしその中、ナポリのカポディモンテ美術館とその公園は、ワクチン接種の会場として少し前からその扉を開いています。美術館と保健機関の日頃にはないこの協働により、ここで接種を受けた人々は、接種後の状態観察の間、絵画を鑑賞しながら待つことができるのです。

カポディモンテ美術館のシルヴァン・ベランジェ館長は、次のように述べました。「私たちは、コレクションの中から多くの傑作を選びました。また力説したいのは、カポディモンテ美術館のある公園は歴史ある庭園で、大きな森でもあり、そしてイタリアの都市の中にある森としては最大だということです。ここは、植物学の博物館でもあります。したがって今回、文化と医療、健康と文化が繋がれたということになります。」

ワクチン接種会場は、カポディモンテの公園内に17ある歴史的建造物のうちの一つにあります。7つの接種ブースがあり、一日あたり1,200回分の接種が可能です。

ナポリ第一地域保健機構長マリア・コルヴィーノ氏はこう述べています。「ここカポディモンテ王立博物館にワクチン接種会場を設置することを決めたのは、まさにこの場所の美しさゆえでした。こうした場所に来て、自由を目にし、緑を目にし、自然を目にすることで、自由を手にするためにはワクチンを接種する必要があることを感じるのです。」

イタリアではワクチン接種は昨年12月末に始まったものの、多くの人が期待するような状態にはまだ至っていません。そのような中、アートと自然がもつ象徴的な意味によって、未来への希望がもたらされるのです。

ワクチンを接種したばかりのある女性は、こうコメントしました。「素晴らしいです。部屋から出たとき、感動しました。なぜなら、これはひとつの勝利だから。私たちの、そしてみんなの勝利です。ここまでたどり着いて、晴れやかな気持ちです。私たちが一歩前進したことの証です。」

ユーロニュース特派員のルカ・パラマーラはこう語ります。

「美しさに触れる。これが、美術館へ行って、芸術や自然に囲まれながらワクチン接種をする人々の願いです。これは普通の暮らしに戻る旅を始めるのに、最も好ましい方法のひとつなのです。」

https://it.euronews.com/2021/04/07/napoli-contagiati-solo-dalla-bellezza-al-centro-di-vaccinazione-di-capodimonte

http://www.museocapodimonte.beniculturali.it/

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Filed under: Storie italiane イタリアの小さな物語 — イタリア文化会館東京 14:25

カトリーヌ・スパーク特集上映「SPAAK! SPAAK! SPAAK! カトリーヌ・スパーク レトロスペクティブ」

60年代を席巻した“イットガール(時代を超える女の子)” カトリーヌ・スパークの代表作4作品 再び!

Buongiorno a tutti!

きたる5 月21日(金)より、60 年代のイタリア映画界を席巻したフランス人女優カトリーヌ・スパークの特集上映「SPAAK! SPAAK! SPAAK! カトリーヌ・スパーク レトロスペクティブ」が、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国にて開催されます。

パリ生まれ、パリ育ちでありながら、イタリア映画で人気を博した女優カトリーヌ・スパーク。『大いなる幻影』(37)や『嘆きのテレーズ』(52)などで知られる名脚本家シャルル・スパークを父に持ち、幼い頃から映画に親しんだ彼女は、ジャック・ベッケル監督作『穴』(60)に端役で出演したのを機に本格的に女優を志します。

父には猛反対されるも、イタリアの大物プロデューサー、カルロ・ポンティと、大女優ソフィア・ローレンの強い後押しによって、1960 年のイタリア映画『十七歳よさようなら』で鮮烈な主演デビューを果たしました。

パリジェンヌの気品と少女の清純さを持ちながら、自由奔放に男を振り回すというアンビバレントな魅力が同居したスパークは、娯楽映画全盛期のイタリアで大ブレイク。アンナ・カリーナやクラウディア・カルディナーレといった次世代フレンチロリータたちと並ぶ人気を集め、そのヘアスタイルやファッションを真似する女性たちが続出、眩しい光を放つ60 年代のイットガールとなりました。(*イットガール(it girl)…注目すべき魅力的な女性のこと。1927 年の米映画『It』の大ヒットで一躍有名になった主演女優クララ・ボウが“it Girl”と呼ばれたことに由来。)

このたびの特集では、美少女に狂わされる中年男を描いたイタリアン・バカンス映画の異端作『狂ったバカンス』(62)、ナポリ湾に浮かぶイスキア島を舞台に恋に奔走する若者たちを色彩豊かに描いた『太陽の下の18 才』(62)、アルベルト・モラヴィアのベストセラー小説「倦怠」を下敷きにした青年画家とモデルの不条理な愛の物語『禁じられた抱擁』(63)、性の世界に踏み込む若き未亡人とジャン=ルイ・トランティニャン演じる医者のフェティッシュ・コメディ『女性上位時代』(68)をラインナップ。スパークの小悪魔的な魅力を余すことなく堪能できる代表作4 作品であり、『禁じられた抱擁』は1964 年の初公開以来50 年以上の時を経て、初のデジタル・リマスター版での公開となります。

昨年この世を去ったエンニオ・モリコーネや、『イル・ポスティーノ』でアカデミー賞を受賞したルイス・エンリケス・バカロフ、『黄金の七人』でおなじみのアルマンド・トロヴァヨーリといったイタリア映画音楽界の巨星たちによる音楽も大きな見どころ。

駆け出しのモリコーネが注目を浴びるきっかけとなった『太陽の下の18 才』のツイストナンバーは公開当時に大ヒットし、ムーンライダーズや木の実ナナなど日本のアーティストもこぞってカバーしました。

そのほか、スパークのバカンスルックや斬新なエレガントファッション、そしてレトロフューチャーなインテリアなど、あらゆる角度から楽しめる60 年代カルチャーも満載となっています。

「SPAAK! SPAAK! SPAAK! カトリーヌ・スパーク レトロスペクティブ」( www.spaak2021.com )は、5 月21 日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次開催です。

<上映作品>

『狂ったバカンス』

別居中のアントニオは、息子を迎えに行く途上で若者のグループに出会う。若さゆえのノリに苛立つアントニオだったが、一人の美少女フランチェスカが気になり、彼らのバカンスに巻き込まれていく……。夏の終わりのある一日、少女に惑わされる中年男を描くイタリアン・バカンス映画の異端作。

監督:ルチアーノ・サルチェ 音楽:エンニオ・モリコーネ 出演:カトリーヌ・スパーク、ウーゴ・トニャッツィ

1962 年/イタリア/モノクロ/スコープ/モノラル/109 分

(c) Licensed by COMPASS FILM SRL – Rome – Italy. All Rights reserved.

『太陽の下の18 才』

ナポリ湾に浮かぶイスキア島で、ニコラは、名前が一字違いのフレンチガール・ニコルと運命的に出会う。ワガママで気が強い彼女だけど、その眩しい笑顔に次第に惹かれて……。愛すべき若者たちのバカンス模様を描いた開放感100%のリゾート・ムービー!巨匠モリコーネによるツイストナンバーは日本でも大ヒット。

監督:カミロ・マストロチンクェ 音楽:エンニオ・モリコーネ 出演:カトリーヌ・スパーク、ジャンニ・ガルコ

1962 年/イタリア/カラー/ビスタ/モノラル/100 分

(c) Licensed by COMPASS FILM SRL – Rome – Italy. All Rights reserved.

『禁じられた抱擁』

裕福な家で育った画家のディノは、近所の老画家のモデルをしていたセシリアの美しい肉体と大胆さに魅了される。割り切った関係のはずだったが、彼女の裏切りが次第にディノの歯車を狂わせ……。アルベルト・モラヴィアのベストセラー小説「倦怠」を脚色した不条理な愛の物語。天真爛漫な笑顔から一転、妖艶さが増す。

監督:ダミアーノ・ダミアーニ 音楽:ルイス・エンリケス・バカロフ 出演:カトリーヌ・スパーク、ホルスト・ブッフホルツ、ベティ・デイヴィス 1963 年/イタリア=フランス/モノクロ/ビスタ/モノラル/105 分

(c) 1963 Compagnia Cinematografica Champion – Les Films Concordia. All rights reserved.

『女性上位時代』

夫に先立たれたミミは、生前彼が所有していた秘密の部屋でセックステープを発見する。夫の変態性にショックを受けつつも興味が湧いたミミは、めくるめく性愛の世界への扉をあける……。トロヴァヨーリの音楽と“レトロ可愛い”ファッション&美術に彩られたフェティッシュ・コメディ!名優トランティニャンにも注目の一作。

監督:パスクァーレ・フェスタ・カンパニーレ 音楽:アルマンド・トロヴァヨーリ

出演:カトリーヌ・スパーク、ジャン=ルイ・トランティニャン

1968 年/イタリア/カラー/ビスタ/モノラル/94 分 (c) 1968 SNC (GROUPE M6)

カトリーヌ・スパーク CATHERINE SPAAK

1945 年4 月3 日、フランス・パリ生まれ。祖父ポール・スパークは劇作家で詩人、父シャルル・スパークは脚本家、母は女優という芸能一家に生まれ、妹のアニエスも女優である。父シャルルは、『ミモザ館』(34)、『大いなる幻影』(37)、『嘆きのテレーズ』(52)など、30 年代から50 年代のフランスを代表する数々の映画を手掛けた名脚本家。59年、父に内緒でジャック・ベッケル監督作『穴』(60)に端役で出演し、本気で女優になることを決心。父の反対があったものの、イタリアの大物プロデューサー、カルロ・ポンティと当時の妻ソフィア・ローレンの強力な後押しにより、『十七歳よさようなら』(62)で映画主演デビューを果たす。私生活では、両親の反対を押し切って『狂ったバカンス』の共演俳優ファブリツィオ・カプッチと18 才で結婚し、娘サブリナを授かるも離婚。その後、歌手、建築家との再婚と離婚を経て、2013 年に18 才年下のアーティストと四度目の結婚をした。主な出演作に、『穴』(60)、『十七歳よさようなら』(60)、『狂ったバカンス』(62)、『太陽の下の18 才』(62)、『追い越し野郎』(62)、『禁じられた抱擁』(63)、『恋のなぎさ』(64)、『輪舞』(64)、『愛してご免なさい』(64)、『夜は盗みのために』(67)、『女性上位時代』(68)、『火曜日ならベルギーよ』(69)など。

<インフォメーション>

カトリーヌ・スパーク特集上映「SPAAK! SPAAK! SPAAK! カトリーヌ・スパーク レトロスペクティブ」

5 /21 金 より ヒューマントラストシネマ渋谷にて開催! ほか全国順次

提供:キングレコード

配給:ザジフィルムズ

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Filed under: お知らせ — イタリア文化会館東京 14:46

ディスコルシ・ムジカーリ第2回演奏会

Buongiorno a tutti!

イザベッラ・レオナルダという女性作曲家を知っていますか?

2020年はノヴァーラの修道女、作曲家であったイザベッラ・レオナルダ(Isabella Leonarda, 1620-1704)の生誕400年にあたる年でした。コロナ禍のため延期された2020年9月のディスコルシ・ムジカーリの演奏会とプレ講演会がこの度、オンラインで配信されます。

1620年にノヴァーラの貴族家庭に生まれたレオナルダは、当時の貴族家庭の習わしに従い、16歳で同地の聖ウルスラ会女子修道院に入会しました。その後、1704年に83歳の生涯を閉じるまで、修道生活を続けながら全20巻200曲におよぶ作品を精力的に出版していきました。中でも1693年の曲集Op.16は、女性が初めて出版したソナタ集として音楽史上、注目すべき作品となっています。

今回は生誕400年を記念して、レオナルダの代表作であるリタニア、ヴァイオリン・ソロ・ソナタ、そして晩年の流麗なマニフィカトなど、より大規模な作品による演奏会が開催されます。

演奏会に先立つプレ講演会は、3月末より既にオンラインで配信されています。レオナルダの生涯と17世紀イタリアの女子修道院での生活について、そして教会権威から女子修道院に対する長年の圧力や禁止令について、現代の私たちには全く想像できない女子修道院の様子が、当時の史料を用いながら分かり易く解説されています。

ディスコルシ・ムジカーリは、イタリア・バロック音楽の「研究」と「演奏」をリンクさせた新しいスタイルの古楽グループです。主宰の佐々木なおみ氏が毎回、研究テーマを決め、研究内容について講演会を行ったあと、実際に演奏を行うというユニークな連動企画を行っています。プレ講演会は5月31日まで視聴可能です。演奏会はイタリア・バロック音楽に精通した演奏者たちが佐々木氏の研究内容を受けて、さらに独自の感性に基づいたエネルギッシュアな演奏を展開します。こちらは4月20日から配信開始となります。

400年前のイタリアで修道女として生き、作曲家として出版活動を83歳まで続けた「ノヴァーラの奇跡」イザベッラ・レオナルダ。その情熱溢れる人生に触れ、透明感に満ちた声楽曲と大胆かつ情感ほとばしる器楽曲に耳を傾けてみませんか。400年前の修道女、作曲家に想いを馳せながら。

視聴券はディスコルシ・ムジカーリ・オンラインショップにて販売中です。

https://discorsimusicali.stores.jp/

【インフォメーション】
ディスコルシ・ムジカーリ第2回演奏会
イザベッラ・レオナルダ生誕400年記念「修道女、そして作曲家 -溢れ出る創意の軌跡-」
オンライン・プレ講演会 現在配信中 5月31日まで配信延長決定
 講演者:佐々木なおみ(ディスコルシ・ムジカーリ主宰)
オンライン演奏会    
配信期間 4月20日から4月27日まで

出演者:
ソプラノ         阿部早希子
カウンターテナー     村松稔之
テノール         福島康晴
バス           目黒知史
バロック・ヴァイオリン  小玉安奈・宮崎蓉子
テオルボ         佐藤亜紀子
バロック・チェロ     懸田貴嗣
オルガン         矢野薫
お話役          佐々木なおみ

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Filed under: お知らせ — イタリア文化会館東京 10:36

記念帖1920プロジェクト「100年前の絵と書の作者を探しています」

Buongiorno a tutti!

今から100年前。

ライト兄弟による初飛行からわずか17年後、ローマから東京までを飛び、世界で初めて欧亜連絡飛行を成功させたイタリアの小型飛行機があったことをご存じでしょうか?

1920年(大正9年)、アルトゥーロ・フェラリン中尉ら4人のイタリア人飛行士が、18,000kmの距離を3ヶ月半かけて、日本にやってきました。ヨーロッパと日本を空路でつないだ世界初の偉業に、飛行機を見たことがない人がほとんどだった時代の日本は大熱狂しました。(「ローマ東京間飛行」についての詳しい歴史は、過去の記事をご覧ください。https://www.iictokyo.com/blog/?p=12774

この「ローマ東京間飛行」を記念して「2冊の記念帖」が作られ、イタリアに渡りました。100年後の今でも、イタリアで大切に保管されている2冊の記念帖には、当時の東京の7歳から15歳の少年少女たちが描いた絵や書道、計166点の、驚くほどすばらしい作品がおさめられていました。

ほとんどの作品には、名前と年齢、学校名が記してあり、調査の結果、数名の作者が見つかっています。中には、画家の田中一村氏や建築家の吉村順三市など、著名な方もいらっしゃいます。もしかすると、みなさんの祖父母の方々が描いた絵も含まれているかもしれませんね。

【ご家族の声】

 「習字が得意だった父の字にまちがいありません。いただいた写真を額に入れて飾りました」仲倉重郎氏(映画監督)

 「100年前の父親の絵が外国で見つかるという思いがけない発見に驚きました。この感動を他の子孫の方々とも分かちあいたいです」稲波弘彦氏(岩井医療財団)

ローマ東京間飛行と2冊の記念帖のストーリー、記念帖におさめられた全作品は、こちらのページで紹介しています。

https://kinencho1920.com/

作品に記載された情報を手掛かりに作成された、作者のお名前・年齢・学校名の一覧もご覧いただけます。作者のお名前にお心あたりがございましたら、記念帖1920 プロジェクト実行委員会まで、ぜひとも情報をおよせください。

<インフォメーション>

記念帖1920

公式サイト:https://kinencho1920.com/

管理・運営:記念帖1920 プロジェクト実行委員会

協力:伊日財団、イタリア空軍、イタリア文化会館、フェラリンファミリー、ティエーネ市「アルトゥーロ・フェラリン:ローマ・東京間飛行の100周年 1920年-2020年」、ローマ東京ハンガーミュージアム、道原聡、岩井医療財団

問合せ:https://kinencho1920.com/content/contact.php

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Filed under: お知らせ — イタリア文化会館東京 10:16

映画『天空の結婚式』

Buongiorno a tutti!

2018年、イタリアで『ドッグマン』『帰ってきたムッソリーニ』の次にヒットし、興行収入が日本円で3億円を突破した『天空の結婚式』(原題:Puoi Baciare Lo Sposo)が、1月22日(金)よりYEBISU GARDEN CINEMA、シネマカリテ他全国順次ロードショー!

本作品は、2016年5月11日にイタリア下院議会で同性カップルの結婚に準ずる権利を認めるシビル・ユニオン法が可決されたのを機に、イタリア・コメディー映画界の重鎮、アレッサンドロ・ジェノヴェージ監督によって作られました。

カップルを演じるのは、日本公開作品初登場のクリスティアーノ・カッカモ(アントニオ役)と、その容姿からギャング映画に多数出演しているサルヴァトーレ・エスポジト(パオロ役)。そしてアントニオの両親として、イタリアのコメディー映画界定番俳優の一人、ディエゴ・アバタントゥオーノ(『ぼくは怖くない』(03)『ニルヴァーナ』(96))と、往年の映画ファンには懐かしいモニカ・グエリトーレ(『続・青い体験』(74)『楡の木陰の愛』(74))が、久々に日本のスクリーンに登場します。

原作はオフ・ブロードウェイのロングヒット舞台作品、My Big Gay Italian Wedding。2003年に初演された本作は、その後マンハッタンのセント・ルーカス劇場に場所を移し、2015年8月まで断続的に16か月のロングラン公演を行い、更に全米30都市以上、またロンドン、エジンバラ、シドニー、香港、アイルランド、カナダ、フランスでも公演されました。昨年も16周年記念公演がフィラデルフィア郊外の都市で上演されています。

主な撮影地は、ローマ北東120kmの地にある、チヴィタ・ディ・バーニョレージョ(Civita di Bagnoregio)。『天空の城ラピュタ』(86)、『ホタルノヒカリ』(13)の舞台ともなったその美しい風景にも、ご注目あれ。

<STORY>

ベルリンで役者として暮らしているアントニオは、今後の人生の伴侶として、一緒に暮らしている役者仲間のパオロと結婚することを決意し、彼にプロポーズをする。
パオロが承諾したので、アントニオは彼を両親に紹介するために、実家のあるイタリアの村への同行を求めるが、同居人のベネデッタと、丁度新しく越してきた同居人ドナートが偶然イタリア人だったので、結局4人で行くことになる。
実家に着き両親に報告すると、母のアンナは納得するものの、父親ロベルトは村長として議会では難民を受け入れるなど寛容な立場だが、いざ自分の息子のこととなると保守的で、頑固に猛反対する。
結婚式の話になるとアンナは、二人の結婚に納得していないパオロの母親も説得して招待することを要求。式は有名なウェディング・プランナーに依頼することにして、式の日も決めたが。。。
果たして父ロベルトは結婚式まで認めるだろうか?パオロの母親は式に来るだろうか?そして幼馴染でアントニオの元彼女カミッラも納得して、二人は皆から祝福されるだろうか?

アレッサンドロ・ジェノヴェージ Alessandro Genovesi
1973年1月10日ミラノ生まれ。監督、俳優、脚本家。ガブリエーレ・サルヴァトーレスの下で、彼の書いた舞台コメディーHappy family(07)が大成功し、映画業界入りを勧められる。2010年から映画の助監督としてキャリアをスタートし、映画化されたHappy Familyはナストロ・ダルジェント賞にノミネート。その後も次々とコメディー映画をヒットさせ、本作の次作品10 giorni senza mamma(ママのいない10日間/英題:When Mom is Away)が2019年のイタリア国産映画で興行収入約10億円で第1位となる。(IMDb)

<インフォメーション>

映画『天空の結婚式』

1月22日(金)よりYEBISU GARDEN CINEMA、シネマカリテ他全国順次ロードショー!

原題:Puoi baciare lo sposo

英題:My Big Gay Italian Wedding

監督:アレッサンドロ・ジェノヴェージ

脚本:アレッサンドロ・ジェノヴェージ、ジョヴァンニ・ボニェッティ

出演:ディエゴ・アバタントゥオーノ、モニカ・グエリトーレ、サルヴァトーレ・エスポジト、クリスティアーノ・カッカモ、ディーノ・アッブレッシャ、ディアーナ・デル・ブッファロ、アントニオ・カターニア、ベアトリーチェ・アルネラ、エンツォ・ミッチョ

撮影:フェデリコ・マジエロ

音楽:アンドレア・ファッリ

制作:マウリツィオ・トッティ、アレッサンドロ・ウサイ

2018年/ イタリア/ イタリア語・ドイツ語/ 90分

提供:日本イタリア映画社

配給:ミモザフィルムズ

後援:イタリア大使館、イタリア文化会館

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Filed under: お知らせ — イタリア文化会館東京 12:34
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